研究課題/領域番号 |
19K00282
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
綾部 広則 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80313211)
|
研究分担者 |
川野 祐二 下関市立大学, 経済学部, 教授 (30411747)
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 吉岡斉 / 科学批判 / デジタルアーカイブ / 戦後日本 |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災・福島第一原発事故以降、科学批判への関心が集まりつつある。しかしこれまでの研究では、わずかの例外を除き、科学批判を分析の対象としたものはほとんどみあたらない。そこで本研究では、脱原発にコミットしつつも、市民運動とは異なるアプローチをとってきた吉岡斉をとりあげ、彼が遺した資料をデジタルアーカイブ化するとともに、なぜ吉岡がそうしたアプローチを採用せざるを得なかったのかについて、科学批判をとりまく環境の変化と関連づけながら考察する。こうした試みは、戦後日本の科学批判に関する新たな歴史を描く試みであるとともに、科学批判における新たな実践的活動のモデルを考える足がかりになるものと思われる。
|
研究成果の概要 |
第一の成果は、吉岡が遺した図書および資料の整理・保存を完成させたことである(現在、九州大学大学文書館吉岡斉科学技術史文庫にて保存)。第二の成果は、それら収集した資料のデジタルアーカイブ化を実現したことである。これにより、利活用における利便性が大幅に向上するとともに、資料の劣化を回避させることが可能になった。第三の成果は、吉岡の科学批判の特徴を素描したことである。著作物のみに限定したものではあるが、これにより今後、詳細な分析を行うための手がかりを提示することができた。第四の成果は、関係者による回顧録集を刊行したことである。これにより資料のみでは窺い知ることが困難な背景を明らかにすることができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最大の意義は、日本の原子力政策に関する政策決定過程の一端を明らかにする資料が得られたことである。実際、今回収集した資料に対してはNHK福岡放送局より関心が寄せられ「ある原子力学者の遺言~未公開資料が語る~」「The Life」という番組がつくられた(2023年3月10日初回放送)。第二の意義は、アーカイブズ学を始めとした分野との協力関係が進んだ点である。今回収集した資料は同時代の資料であり、それらの扱いをどうするかなど解決すべき課題が多い。本研究によって、そうした課題をさまざまな専門分野との協力で取り組む契機となったことは科学技術史にとっても大きな意義があると思われる。
|