研究課題/領域番号 |
19K00288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
平田 光司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, ダイヤモンドフェロー (90173236)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高エネルギー加速器 / 専門家集団 / 原子核研究将来計画 / 日本学術会議原子核特別委員会 / トランスサイエンス / SSC計画 / 専門家集団の形成 / オーラルヒストリー / 原子核研究将来研究 / SSC / 機種変更 / 先端技術の設計 |
研究開始時の研究の概要 |
米国における超伝導超大型衝突型加速器 (SSC) 、日本における原子核将来計画の素粒子研究所の加速器のデザイン・機種が変更された経緯を、これらの変更にともなって研究組織に大きな改変が起きたことに注目し、技術的な側面だけでなく技術者集団の組織・社会の観点から分析する。
先端的な大型装置のデザインはトランスサイエンスの典型例であり、専門家集団の多様な価値観が反映し、同時に集団の構造に影響する。不定性がある中での意思決定のありかたを探るため、高エネルギー加速器研究機構に保管されている史料、計画に加わった研究者の記録およびオーラルヒストリーを用いて、技術選択と研究者集団の関係、研究者集団の社会学を探る。
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研究実績の概要 |
米国の高エネルギー物理学の中心的な次期計画であった超伝導超大型衝突型加速器(SSC)と日本学術会議の勧告に基づいて原子核特別委員会(核特委)が中心となって推進していた大強度加速器(HRAG)の計画は、どちらも計画承認後に加速器グループが改変され、再設計が行われ、デザインが大きく変更された。これらを、技術的な側面だけでなく、専門家集団の社会的構造の観点から分析することが本研究の目的である。 2019年度には記録の収集を行ない、またSSC建設予定地であったテキサス州Waxahacieを訪問し、現地の様子を視察、地元紙の記録を集めた。しかし2020-21年度に予定していた関係者へのインタビューや記録の閲覧が新型コロナ感染症の影響によって実施不能となったために、すでに入手していた資料の分析に基づいて部分的な成果として学会発表のみを行った。 2022年度にはHRAGから通常型の加速器へと方針転換した核特委における検討状況を一次資料に基づいてくわしく調査した結果、通説とされているいくつかの点に誤りがあることを発見し、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に方針を一部修正し、原子核研究将来計画における機種変更についての一次資料の検討に集中した結果、「合意形成を重視する日本の研究者集団の悪弊により機種変更が遅れ、将来計画の実現に時間がかかった」、「機種変更は文部省や大蔵省に研究者集団への不信感をもたらした」などの「通説」についての反証を見出すことができ、本研究の成果として論文執筆に進むことができた。 これにより新型コロナウイルス禍による損害をかなり回復できたと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
日本の計画における機種変更についての論文を完成、発表し、学会等での批判を仰ぐことによって、その先の発展を図る。SSCに関する調査も行うが、今年度中にまとまった成果をまとめることは難しいかもしれないので、将来の課題として問題点を整理することに努める。
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