研究課題/領域番号 |
19K00297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中島 貴奈 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10380809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 高啓 / 日本漢詩文 / 和刻本 / 訓点 / 日本漢文学 / 江戸漢詩 / 訓読・訓点 / 六如 / 日本文学 / 中国文学 / 近代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
高啓(こう・けい1336-1374)は元末明初に活躍した中国の詩人である。日本における受容例としては森鴎外による「青邱子歌」の文語訳がよく知られるが、夏目漱石や芥川龍之介といった著名な文学者にも愛読の跡が見られ、これは江戸期から明治期にかけて高まった高啓詩愛好の流れを汲むものと考えられる。 本研究では、いつごろ何をきっかけに高啓の詩が受容され、なぜ江戸後期から明治期にかけて愛読されたのか、また江戸漢詩人や近代文学者の作品に高啓の詩がいかに摂取されたのかについて、網羅的かつ具体的に明らかにする。中国における高啓評価の影響等を考慮しつつ、日本文学における高啓詩受容の様相と意義について考察したい。
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研究実績の概要 |
2023年度は研究計画に基づき、以下のような調査・考察を行った。 ①高啓の和刻本出版に関わった人物の詩文集や書簡等を調査し、交遊関係と高啓詩の受容及び和刻本出版の背景について考察した。主な調査対象としたのは高啓詩集和刻本の編者である仁科白谷・中島棕隠・斉藤拙堂・菊池渓琴とその周辺の人々に関連する資料である。その結果、伊勢津の藩士平松楽斎を中心とする交遊圏に着目した。天保三年に伊勢を訪れた仁科白谷は、平松楽斎のもとで、同じく遊行中の中島棕隠を始めとする詩盟と会している。その席上、中国歴代の詩について論じ高啓に及んだこと、棕隠に歓待され詩を贈り合ったことなどが、白谷の「紀行摩島松南に贈る二百六十韻」詩に詠まれているほか、詩の贈答をしたり、連句を作ったりと、詩文を介した密な交流のあったことが窺われる。さらに天保六年の楽斎宛拙堂書簡には、『高青邱詩醇』を始めとする「続詩醇」の編纂刊行に際して楽斎の関与・働きかけがあったことを示唆する記述が見られる。 ②高啓和刻本に付された訓点について、和刻本間の訓点の違いや、同じ人物が編纂した別の刊本との比較から、誰が付訓を行ったのか考察した。結果、和刻本間の訓点の違いには、詩文の解釈に関与しないもの(上中下点を使うか一二三点を使うかなど)のみでなく、解釈の違いに関わるものも見られることが明らかになったが、同一人物が編纂した和刻本に共通する付訓の特徴が見られるかについては、指摘できていない。しかし、菊池渓琴が『高青邱詩醇』に先だって編纂した『遺山先生詩鈔』附言において「自分は詩集が完成しないうちに東行して再校の時間がとれなかったため、人に校閲を依頼した。字の誤りや訓点の間違いなど、粗略だという批判があっても、すべて甘んじて受ける」と述べていることから察するに、高啓和刻本についての編纂者である漢詩人が付訓に携わっていた可能性は高いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までの収集資料に加え2023年度新たに収集した資料を精査し、概要に記したような新たな知見を得て成果を上げることができたため、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
概要に記した①②の点について、以下の通り調査考察を推進する。 ①これまで収集した資料に加え、交遊圏をさらに広げて書簡等を精査することにより、高啓和刻本出版の背景を明らかにしたい。誰がいつ、なぜ高啓の詩に注目するようになったのかについては、すでに明らかになったため、和刻本の出版が天保年間に集中した理由についても考察する。また、平松楽斎の役割についても具体的に明らかにしたい。 ②については、概要に記した菊池渓琴の附言のような記述がほかに見られないか調査を行う。並行して、特定の人物の関わった刊本もしくは書肆の刊本に訓点の特徴が見られないか考察を続ける。 また、現在日本各地に所蔵される『高太史大全集』『高青邱詩集注』についても調査を少しずつ進めてきたが、その整理も行いたい。
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