研究課題/領域番号 |
19K00300
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 小津久足 / 紀行文 / 江戸時代 / 書簡 / 伊勢文化圏 / 雅俗 / 松坂商人 / 小津桂窓 / 分野横断 / 伊勢商人 / 湯浅屋与右衛門 / 雑学庵 / 自筆稿本 |
研究開始時の研究の概要 |
小津久足の紀行文は、道中記録・草稿本・清書本がそれぞれ小津家・日本大学図書館・天理図書館に残存しており、詳細で正確な記述によって、近世後期の時代状況を生々しく現代に伝えている。江戸時代後期を代表する戯作者馬琴と小説批評をやりとりし、自身も多くの和歌を詠み、古今の稀書を蒐集した小津久足の記す紀行文は、文学作品としても極めて高い完成度を示している。一方で、現代では失われてしまった風俗や土地の記憶を多く含み、歴史学や民俗学からしても第一級の史料となっている。このような多方面に活用の見込まれる小津久足の紀行文に対して、資料収集・内容分析・生成過程の解明を行うことで、近世後期の文化状況を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
小津久足の紀行文に関係する資料収集・分析を行い、その成果を『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』(和泉書院、2020)をはじめ、単行本や学術雑誌・紀要等に翻刻紹介した。また、研究の過程で得た知見にもとづき、『大才子 小津久足』(中央公論新社、2023)を一般書として発刊し、紀行文執筆を含む、江戸時代後期の文化状況を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、小津久足は、小沢蘆庵歌論の受容や馬琴とのやりとりを経て、達意の文章でありのままの現在を書き記すという文学観を形成し、それにもとづいて紀行文を執筆していたことが明らかになった。よってその紀行文には、江戸時代後期の正確な実態が記しとどめられており、これは文学研究にとどまらず、歴史学や経済史学、また民俗学など、多くの学問分野にとって有益な資料であることが明確になった。その研究成果を翻刻や論文・単行本執筆というかたちで公にしたことは、学術的にはもちろんのこと、一般書刊行による学術成果の社会還元という点でも、大きな意義がある。
|