研究課題/領域番号 |
19K00301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
日沖 敦子 文教大学, 文学部, 准教授 (30448708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中将姫 / 説話 / 縁起 / 奈良絵本 / 当麻曼陀羅 / 青蓮寺 / 寺社 / 当麻曼荼羅 / 袋中 / 近世 / 寺社縁起 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、千年以上の時を経て存在する当麻曼荼羅(観経曼荼羅)とその由来を伝える中将姫の奇跡が、多くの人々に信じ続けられ、語り継がれてきたという信仰的事実に注目する。特に16~18世紀にかけて、中将姫説話とそれにかかわる浄土教絵画が、どのような人々によって制作され、受容されてきたか、寺社や機関に所蔵されている史料について精査し、作品の制作背景およびその担い手について具体的に検討する。 中でも、本研究の核となるのは、中将姫が捨てられた日張山説話で知られる青蓮寺(奈良県宇陀市)の史料群である。青蓮寺の史料群を端緒として、関連寺院における文芸活動と寺院ネットワークの実態解明をも見据え研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究では、千年以上の時を経て存在する当麻曼荼羅(観経曼荼羅)とその由来を伝える中将姫の奇跡が、多くの人々に信じ続けられ、語り継がれてきたという信仰的事実に注目する。中でも本研究の核となるのは、中将姫が捨てられた日張山説話で知られる青蓮寺(奈良県宇陀市)の史料群(仏像、仏画、経典などを含む)である。 今年度は、9月に青蓮寺での史料調査を行ったところ、新たに青蓮寺と関わりが深かったと考えられる浄土宗僧天阿(1727-1802)に関する史料が2点見つかった。天阿は近世期の仏足跡の図様に関する研究の一環として注目されてきた浄土宗の僧で、三重県松阪市広瀬町にある永正寺の僧侶だった。天阿は三重県の寺社を中心に、数多くの石造物や絵画を残しており、多くの人が天阿に帰依していたことが確認できる。青蓮寺には天阿が亡くなったのちに造立された仏足石ほかいくつかの史料がある。なぜ青蓮寺に天阿の仏足石が造立されたかについて、今回新たに確認できた史料は、手がかりを与えてくれるもので、今後さらに調べを進めていきたい。12月には、さらに天阿関係の史料調査をすすめた。さらに、三重県内の寺院に所蔵される當麻曼荼羅と中将姫坐像の調査も実施した。 當麻曼荼羅縁起によると、本願尼(中将姫)の極楽往生は宝亀6年(775)3月14日となっており、令和6年(2024)3月は中将姫1250回忌にあたる。2024年度に入ってからは、この節目の年に合わせて、青蓮寺での会式の際「中将姫と青蓮寺―中将姫1250回忌によせて」と題して、調査の一端を報告させていただいた(4月14日)。また現在は、2024年度仏教文学会大会で「広がる中将姫信仰―17世紀の説話と信仰のかたち」(10月20日)と題したシンポジウムを開催すべく、登壇者との意見交換を行うなど準備を進めている。これまでの調査・研究の報告の成果を含めて報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青蓮寺での史料調査も進み、近隣の関連寺院での調べを並行して行っている。コロナ禍により調査が難航していた時期もあったが、今年度は特に問題なく、概ね計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、2024年度仏教文学会大会のシンポジウムの開催のための準備とその成果報告書の準備を進める。また、青蓮寺史料を調べる過程で新たな課題として浮上してきた、①浄土宗僧天阿の事績と足跡についての調査 ②紀州徳川家との繋がりに関する調査 について、調べを進め、17世紀以降の中将姫信仰の広がりと信仰圏の問題について、より具体的に検討していきたいと考えている。
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