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中古中世仮名文学の本文資料に関する多様性の再評価を目指した文献学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00304
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関日本大学

研究代表者

久保木 秀夫  日本大学, 文理学部, 教授 (50311163)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード中古中世和歌 / 中古仮名散文 / 古典籍 / 古筆切 / 異本 / 流布本 / 文献学 / 書誌学 / 中古中世仮名文学 / 和歌 / 物語 / 写本 / 版本 / 和歌文学 / 中古文学 / 中世文学
研究開始時の研究の概要

中古中世の仮名文学の特徴に、作品が同じであっても、伝本が違えば本文も違う、ということがある。しかし今日一般に読まれているのは、流布本・善本ばかりであり、少数派と言える異本については、存在すら忘却されているものもある。
本研究は、流布本・異本といった区別を一旦リセットし、諸作品の伝本・本文を調査研究し直し、また分類に工夫を凝らし、新たな資料も対象としながら、それらの多様性を再評価し、学界・社会に提供していくことを目的とする。

研究実績の概要

2023年度においては、前年度までに行えなかった原本資料の実地調査を可能な限り実施するようにした。すなわち相愛大学図書館春曙文庫蔵『枕草子』の古写本や、毛利博物館蔵『元就卿詠草連歌』『養生誹諧』、山口県文書館蔵の毛利氏・大内氏関連資料、もりおか歴史博物館蔵手鑑『群英手簡』、八戸市立図書館蔵南部家文書中の書籍目録・蔵署目録類、などである。特に呑香稲荷神社蔵『新古今和歌集』近世初期写本が、現存伝本数に恵まれない、伝冷泉為相筆本と同系統であることを知り、その調査撮影を果たせたのは幸いだった。同本を含めたその研究成果については、2024年度に学会発表する予定である。
また当該研究の主対象としてきた諸作品・諸資料のうち、『古今集』の散佚重要写本のひとつ、藤原基俊本に関する原本資料を複数見出したため、そのうちのひとつ、伝寂蓮筆六半切について論文化した。ほか伝世尊寺行俊筆長良切、『古今和歌集目録』『古今集作者部類』なども同様の資料であり、現在進めている最中である。加えて『古今和歌六帖』の伝藤原行成筆断簡、『伊勢物語』の散佚重要伝本のひとつ、小式部内侍本に関する原本資料2点、高知県立高知城歴史博物館蔵(山内家旧蔵)古筆手鑑2点のうちの1点などについても詳細に研究し、論文として発表した。
また中世文学会春季大会(2023年5月28日、於白百合女子大学)において、一条兼良撰の散佚連歌撰集『新玉集』の成立過程に関する研究発表を行った。また和歌文学会大会(2023年10月7~8日、於東北大学)にも参加し、最新の研究成果に接し、情報交換も行い、研究発表の司会をも務めた。
ほか論文作成・画像等のデータ整理・加工・保管用のデスクトップPC一式等をも調達したが、なお2022年度までコロナ禍等により予算すべてを活用し得なかったため、2024年度も延長し、より研究を深め、さらなる成果を出していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度まではコロナ禍による行動制限に加え、所属大学において学科主任等を務めるなどの校務繁多により、当該研究を進めるための現実的な制約が非常に強く、当初計画どおり、また希望どおりの調査研究活動を行うことが困難であった。
2023年度も校務繁多は変わらなかったが、ようやく全国各地の所蔵機関に調査に赴くとことができるようになり、予定し希望していた原本資料を実地に調査できるようになってきた。それでもなお調査先や点数としては当初計画からすると少なめであると自覚されるため、自己評価としては「(2)おおむね順調に進展している」を選択したが、2022年度までからすると、確実に大きく進展していると判断している。
根拠としては「研究実績の概要」欄にも一部記したところであるが、とりわけ『古今集』基俊本の関連資料として、新たに『古今和歌集目録』『古今集作者部類』の存在を知り得たこと、『新古今集』為相本系統の1本を見出したこと、『枕草子』定家本(三巻本)に関する従来説を覆し得る可能性に気づいたこと、『古今六帖』の伝行成筆断簡以外の複数種の断簡についても従来説とは異なる認定の仕方に想到したこと、『伊勢物語』非定家本群の本文生成過程の試論を組み立てつつあること、その他数々の未紹介にして学術的価値のある原本資料を少なからず発見したこと、等々が挙げられる。
これらについては、延長した2024年度に可能な限り取り組んでいきたい。またその後新たに申請を予定している科学研究費補助金の研究計画にも盛り込んでいく所存である。

今後の研究の推進方策

『古今集』基俊本の関連資料に関しては、すでに2024年4月20日開催の和歌文学会関西例会(於京都精華大学)で口頭発表してきたところで、同年度のうち可能な限り、増訂しつつ論文化しようとしているところである。また『新古今集』為相本に関する口頭発表も同年度中に行う予定である。
また所属大学において2024年度、サバティカルを取得できたため、関西地方を中心に原本の実地調査や撮影を積極的に行っていく。具体的には受入先の京都女子大学の図書館に収蔵される吉澤文庫や阪倉文庫(中古文学を中心とする)、谷山文庫(中世和歌を中心とする)を筆頭に、京都大学付属図書館・天理大学付属天理図書館・京都府立京都学歴彩館・大阪市立中之島図書館、その他多数に赴くことを予定している。
と同時に2023年度までに得られたその他の調査研究成果を可能な限り論文化して公表していく。さらにこれまでの中古中世文学に関して発表してきた論文を増訂し、単著を刊行する準備も開始する(すでに出版社の内諾も得られている)。
ほか国文学研究資料館で公開されていた「古筆切所収情報データベース」が2023年度に閉鎖されてしまったため(同館の事業計画に基づく等の理由に拠るようである)、その代替となる配布用データを作成し、ResearchMapの個人ページから誰でも無償でダウンロードできるようにし、広く活用してもらうことを考えている。それに際して、前回データ更新後、新たに公刊された古筆切類の影印本のデータを増補する予定でもある。
以上のように当該研究を推進しつつ、これらの成果を基盤とし、さらに発展させた新たな研究テーマを設定し、具体的な研究計画をも立案し、2025年度開始の科学研究費補助金の申請をも行う所存である。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (31件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 『伊勢物語』小式部内侍本に関する古筆資料二点2024

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      国文鶴見

      巻: 58 ページ: 50-67

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 高知県立高知城歴史博物館蔵 古筆手鑑(乙)について2024

    • 著者名/発表者名
      舟見一哉・久保木秀夫
    • 雑誌名

      高知県立高知城歴史博物館研究紀要

      巻: 6

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 福井久蔵著『大日本歌書綜覧』2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      和歌文学研究

      巻: 125 ページ: 14-20

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 第二次大戦前後における研究者らの蔵書の行方―徳本正俊旧蔵『源氏物語』正徹本などの場合ー2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      むらさき

      巻: 59 ページ: 69-74

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝寂蓮筆『源氏物語』「若紫」断簡とその残欠本2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      武蔵野文学

      巻: 70 ページ: 26-32

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『梅庵古筆伝』の「定家卿」ー定家仮名遣いの「源親行整定説」に及ぶ―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第二十回)2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 21

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『源氏小鏡』成立年代小考―『源氏大鏡』にも少々及ぶ―2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      語文

      巻: 172 ページ: 15-28

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『源氏物語』大島本「関屋」奥書に関する試論2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      鶴見大学源氏物語研究所 年報

      巻: 8 ページ: 1-4

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝牡丹花肖柏筆・未詳名所歌集断簡とその独自記載 含、『勅撰名所和歌要抄』再認識(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十九回)2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 20 ページ: 128-138

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝京極高秀筆『百人一首』断簡 付、「高秀」印の捺された古写本もう一点2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      研究と資料

      巻: 84 ページ: 31-44

    • NAID

      40022781854

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 大村由己『梅庵古筆伝』ところどころ(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十八回)2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 19 ページ: 128-139

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝十市遠忠筆・名所歌集断簡 : 興福寺明王院旧蔵『歌枕名寄抄』か(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十七回)2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 18 ページ: 147-156

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝藤原資経筆・未詳名所歌集断簡 付、古写本群研究の可能性(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十六回)2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 17 ページ: 147-156

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『源氏物語』藤原定家筆・四半本「若紫」一帖の出現をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      語文

      巻: 169 ページ: 1-17

    • NAID

      40022571914

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『大弐三位集』端白切とその表紙―冷泉家本伝来史一端―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十三回)2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 14 ページ: 111-119

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『和漢朗詠集』正保五年版・尊円親王本―古筆の摸刻資料その三―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十四回)2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 15 ページ: 116-127

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 伝中御門宣胤筆『源氏小鑑』断簡・裏書(うらがき)―短冊を活用した筆蹟鑑定の一事例―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十五回)2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 16 ページ: 119-126

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『往生要集絵巻』詞書断簡?―恵心僧都源信関連資料その三―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十二回)2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 13 ページ: 112-116

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 焼失『後撰和歌集』伝亀山天皇筆本とその校訂本文(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十一回)2019

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 12 ページ: 124-135

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『紫式部日記』の古筆切(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第十回)2019

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 11 ページ: 117-125

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『観古帖 書画部』―古筆の摸刻資料その二―(日々是探索~古筆切・写本・たまに版本~第九回)2019

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 雑誌名

      日本文学研究ジャーナル

      巻: 10 ページ: 145-157

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 伝宗砌筆「未詳(智蘊か)句集」跋文断簡―一条兼良撰の散佚連歌撰集『新玉集』に関する一資料―2023

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 学会等名
      中世文学会春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 平安文学研究の深化のためのインフラ整備2021

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 学会等名
      名古屋大学国語国文学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 伝藤原行成筆『古今和歌六帖』断簡(『言葉から読む平安文学』所収)2024

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫(室城秀之編)
    • 総ページ数
      568
    • 出版者
      武蔵野書院
    • ISBN
      9784838607938
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 伝寂蓮筆六半切『古今和歌集』断簡ー藤原基俊本に関わる本文の集成と補考ー(『古典文学研究の対象と方法』所収)2024

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫(佐々木孝浩・佐藤道生・高田信敬・中川博夫編)
    • 総ページ数
      932
    • 出版者
      花鳥社
    • ISBN
      9784909832856
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 『百人一首』『百人秀歌』の伝本と本文(中川博夫・田渕句美子・渡邉裕美子編『百人一首の現在』所収)2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫
    • 総ページ数
      470
    • 出版者
      青簡舎
    • ISBN
      4909181385
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『百人一首』要調査伝本一覧抄(中川博夫・田渕句美子・渡邉裕美子編『百人一首の現在』所収)2022

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫・木村孝太
    • 総ページ数
      470
    • 出版者
      青簡舎
    • ISBN
      4909181385
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 和田律子・福家俊幸編『更級日記 上洛の記千年―東国からの視座』2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫「『更級日記』上洛の記の地名と同時代後代和歌と」
    • 総ページ数
      438
    • 出版者
      武蔵野書院
    • ISBN
      9784838607310
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 浅田徹ほか編『和歌史の中世から近世へ』2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫「伝藤原為家筆『治承三十六人歌合』断簡」
    • 総ページ数
      642
    • 出版者
      花鳥社
    • ISBN
      9784909832276
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 中古文学会関西部会編『源氏物語 本文研究の可能性』2020

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫「『源氏物語』"巻別本"研究の可能性―石水博物館蔵「早蕨」丁字吹き装飾料紙一帖の紹介を兼ねて―」
    • 総ページ数
      259
    • 出版者
      和泉書院
    • ISBN
      9784757609556
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [備考] 古筆切所収情報データベース

    • URL

      http://base1.nijl.ac.jp/~kohitu/

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書 2019 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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