研究課題/領域番号 |
19K00305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
渡邉 裕美子 立正大学, 文学部, 教授 (30713078)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 藤原定家 / 歌論書 / 偽書 / 毎月抄 / 書簡体 / 定家 / 歌論 |
研究開始時の研究の概要 |
和歌の創作理論は中世に入って急速に深化した。その始原に位置するのが藤原定家である。現在、歌論書『毎月抄』は定家真作として扱われることが多い。しかし、子細に検討するとその記述には偽書としての刻印が見出される。本研究では、この『毎月抄』の成立時期を正確に見極め、偽書として定位し、定家歌論の受容と変容の史的展開を明らかにする。具体的には、『毎月抄』伝本を整理し、近年、研究の進展が著しい偽書論を踏まえ、これまで注目されていなかった書簡体というスタイルや夢の既述など文化史や宗教史に広がる視点から『毎月抄』を検討する。さらに『毎月抄』以降の歌論書を含め、定家歌論の受容と変容の様相を見極めることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、藤原定家著と考えられてきた『毎月抄』の成立時期を見極め、偽書として定位し、定家歌論の受容と変容の史的展開を明らかにすることを目的とした。2019年度は、『毎月抄』の伝本調査を順調に進めることができたが、その後はコロナ禍により、大きな制約を受けた。しかし、2020年度には、伝本調査の成果の一部を公刊し、2021年度には国際会議で「偽書」をテーマとして口頭発表を行った。2022年度には、その内容に関わる論考を2本成稿した(公刊はいずれも2023年度)。また、2022度には、『毎月抄』の周辺に広がる問題の研究をとおして、偽書の成立と展開についての考察を深めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、藤原定家の歌論書として享受されてきた『毎月抄』を主たる研究対象とした。『毎月抄』は近代以降、偽書か否かの論争があったが、本研究では偽書として明確に位置づけた。まず、伝本調査の結果などから、成立年代が14世紀初頭であることを明らかにし、書簡体というスタイルと「読者」に着目して、俊成や定家の他の歌論書と比較検討を行ない、中世近世を通して広く享受され続けたか理由を探った。定家の後代への影響は和歌史にとどまらず、文化史にも及ぶ。本研究をとおして定家仮託偽書の生成と享受の問題の一端を明らかにしたことで、日本文化の基層の理解の深化に寄与することができたと考える。
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