研究課題/領域番号 |
19K00307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
榊原 理智 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00313825)
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研究分担者 |
辛島 デイヴイツド 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40736005)
塩野 加織 大妻女子大学, 文学部, 准教授 (80647280)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 英語訳 / 日本近現代文学 / 翻訳 / キャノン / 1950年代 / 村上春樹 / キャノン形成 / 近現代日本文学 / 冷戦期 / 冷戦 / 世界文学 / 国際文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後から90年代にかけて、日本近現代文学が英語翻訳を通して世界の主要な文学(キャノン)になっていく過程を、英語翻訳の生産・出版・流通の側面から解明する。1)英語翻訳初動期のキャノン形成2)村上春樹の英語翻訳によるキャノンの変容を中心に据え、日本近現代文学研究に英語翻訳という新たな通史的な視野を拓く。文学研究における正典(キャノン)とは、その芸術的価値を権威によって跡づけられた作品を指す術語である。本研究では、日本近現代文学の英語翻訳における基準の確立とその変遷という観点から、日本文学が世界に普及する過程を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は①戦後から冷戦初期という英語翻訳初動期のキャノン形成時代 ②村上春樹の英語翻訳による1980年代以降のキャノン変容という二つの歴史的射程を据え研究をすすめてきたが、いくつかの論文・学会発表などを行うことができた。英国・および米国の大学の研究者たちとの共同でのワークショップ開催も行った。コロナ禍によって海外渡航が制限され、調査に関しては多少の遅れをとったが、規制が緩和されるに伴い、念願であった海外研究者を招聘しての国際シンポジウムを3年目にして初めて行うことができた。また、今後も継続を予定している研究会を立ち上げ、研究者ネットワークを構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、日本文学の英語訳を歴史的に捉えるという視点にある。冷戦初期におけるキャノン形成は、日本側の日本文化発信への意欲と、アメリカ側の冷戦文化政策の利害が一致して協働して行われた。村上春樹の成功、およびそれに続く女性作家たちの作品の英語訳ブームはオリエンタリスティックで男性中心であった以前のキャノンへのアンチテーゼを成していることが明確になった。本研究の社会的な意義としては、翻訳の文化構成力への考察が挙げられる。文学の翻訳とは文学の流通そのものであり、目標文化圏での文学的価値そのものを形成することが本研究によって明らかになった。
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