研究課題/領域番号 |
19K00311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
木田 隆文 奈良大学, 文学部, 教授 (80440882)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 上海文学 / 上海文学研究会 / 池田克己 / 外地文学 / 植民地文学 / 文化統治 / 文献保存 / 上海 / 中支 / 日本未来派 / 戦後詩 / 中国 / 文芸文化ネットワーク / 武漢文学会 / 武漢歌話会 / 戦後文化 / 林広吉 / 戦後文学 / 越境 / 戦時上海 / 戦後日本 / 文化ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦時上海およびその周辺都市で活動した日本人文学者・文学団体の人的ネットワークが、戦後日本の文芸文化の創成と展開に与えた影響を検討するものである。具体的には、戦時上海で活動した作家・池田克己と、日本側文化機関・中日文化協会の職員であった林広吉に着目し、彼らの周囲に存在した人物・団体の戦後の文化活動を跡付ける基礎資料の発掘・整備を行う。そのうえで各資料の分析を通じて、戦後日本の文化形成における戦時上海の文化的影響度を測定してゆくことを計画している。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦時下の上海および中支各都市で活動した日本人文学者・文化団体の文芸文化ネットワークが、戦後日本の文芸文化の創生と展開に与えた影響を検討するものである。 コロナ禍の影響により研究期間を延長した本年度は、これまでに収集し得た資料の公刊とその準備、基礎調査の成果を活用した研究報告に積極的に取り組んだ。 その具体的な成果としては、戦時上海で刊行された日本語文芸雑誌『上海文学』の復刻を出版したことが挙げられる。同誌は戦時上海の文芸文化状況を解明するうえで極めて重要な資料として知られながら、原本の閲覧が極めて困難な状況に置かれてきた。本復刻の刊行は、当該分野の研究状況の改善とさらなる研究の推進に寄与したといえる。またその研究的・社会的意義については中国モダニズム研究会をはじめとする関連学会や「日本経済新聞」等のメディアでも報告を行い、学会および社会に広く研究成果を還元した。 他にも本年度は「池田克己宛古川武雄書簡」、詩誌『花』・『日本未来派』など、これまで収集した文献資料の整理調査を進め、次年度の刊行に向けた準備にも取り組んだ。 さらに本年度は、中国側および隣接領域の研究者・グループとの研究交流も積極的に行った。上記の中国モダニズム研究会はじめ、①「国際共同研究シンポジウム 近代日本の中国都市体験(2)―旅行案内・旅順・大連・北京」、②「ワークショップ・東アジアにおける日本近代文学の越境(清華大学・在華日中文学資料研究会共催)などでも研究発表を行い、これまでの研究成果を周辺領域の成果と結びつけることを意識した。なかでも②では、外地文学資料の保存と共有に地理学情報システム(GIS)を援用する試みを提案し、今後の研究成果の公開方法に対する検討と学際的協力への模索も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長引くコロナ禍の影響により、本年度も海外文献調査が困難であることが想定されていた。そのため事前の計画段階で、本年度以降は既存の収集資料を活用した研究成果報告とその出版に比重をかけ、資料調査は国内に限り補助的に行う計画とした。 その具体的成果としては、『上海文学 復刻版』(2022.7 琥珀書房)を出版することができた。またあわせて敗戦後日本に引揚げた大陸文学者の動向を確認できる「古川武雄宛池田克己書簡」の翻刻作業をすすめ、同書簡と戦後に刊行された詩誌『花』『日本未来派』の分析を行った。それにより、本研究課題である戦時中国と戦後日本の文化的連続性について一定程度の成果をまとめることもできた。なお同書簡の翻刻と戦後詩誌の分析作業は、次年度に成果報告の一環として出版する予定である。その準備についてもおおむね計画通りに進んでいる。 他にも本年度は、文献調査の成果を活用した論考を数編発表しており、学会発表や講演などでも成果報告を実施するなど、これまでの研究成果を順調に公開できているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究最終年度となるため、これまでの研究成果の報告と、資料の公開・公刊を実施する計画である。 すでに「古川武雄宛池田克己書簡」の翻刻と、詩誌『花』の復刻は、2023年度後半に琥珀書房から刊行する計画で進めている。 またこれまで収集してきた外地文学関連資料については、2024年1月~3月に奈良大学博物館で展観を開催し、学会はもちろん広く社会に公開する予定である。 さらに年度末には、他の関連分野の科研グループ(21KK0007など)や共同研究を進めてきた中国側研究者らと連携し、外地文芸資料に関するシンポジウムを開催する計画も立てている。 なおコロナ規制の緩和が急速に進展し、中国での文献調査の可能性が高まってきている。事情が許せば中国での文献収集や研究交流も実施し、研究のさらなる進展を目指す。
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