研究課題/領域番号 |
19K00312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
川崎 剛志 就実大学, 人文科学部, 教授 (70281524)
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研究分担者 |
仁木 夏実 京都府立大学, 文学部, 准教授 (40367925)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 偽史 / 修験道 / 寺社縁起 / 山岳信仰 / 役行者 / 大峯 / 金剛山 / 縁起 / 箕面 |
研究開始時の研究の概要 |
平安時代中期から鎌倉時代後期にかけて、山伏の修験から日本仏教の一道として修験道が成立する過程で、その正統性を支えるのに最も大きな役割を果たしたのが、史実とかけ離れた、現代の視点からすれば荒唐無稽とも映る、修験の起源と歴史を綴った縁起の類であった。 本研究では、平安時代後期から鎌倉時代初期に現れたその主要な縁起『大峯縁起』『箕面寺縁起』『諸山縁起』『大菩提山等縁起』の成立と受容について精査し、その結果に基づいて、上記の偽史が修験道の正統性を創出し、さらに三国伝来の日本仏教の正統の系譜を更新した事実を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、三国伝来の日本仏教の起源と歴史に準じつつ独自性を備えた修験の起源と歴史が整備されていく過程を解明することである。いまだ制限のある状況ながら、過去3年間とくらべて、いくぶん当初の予定に近い形での調査・研究及び成果報告が可能となった。 五つの研究実施計画のうち、令和2年度までに「2.『大峯縁起』ほか縁起の受容例一覧作成」「5.大峯信仰偽史の研究」について、令和3年度までに「3.大峯=両界曼荼羅説の発生と受容の研究」について一定の成果をあげたことを既に報告した。残る二つ計画のうち、「1.『大菩提山等縁起』の基礎研究」については原本調査が困難なため、記述内容の分析を進めた。また同本の原本調査に代わる修験道資料調査として、園城寺光浄院蔵の新出資料の予備調査を始めた。「4.平安時代後期の寺社縁起作文における幼学書利用の研究」については、その基礎となる調査を行っている。加えて、計画5について、考古学者の発掘調査の成果を踏まえた文献研究を進めており、再延長を許された平成5年度に論文を発表する準備を進めている。 本研究の国際的展開については、研究代表者が、令和4年7月、国際中世学会(リーズ大学、イギリス)のセッションに参加し、ドイツ、イタリアの修道院の活動との比較研究の成果を報告した。また学際的展開については、研究代表者が、令和5年3月、シンポジウム「宗教遺産をめぐる真正性―宗教遺産テクスト学の発展的展開―」(オンライン、名古屋大学人類文化遺産テクスト学研究センター主催)のパネリストをつとめ、時代、地域、研究分野を超えて宗教文献の問題を議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査の機会、国際学会での発表の機会が回復傾向にあり、また現状にあわせた方向転換も行ってきたが、過去三年間に生じた研究の遅れを一年間で取り戻すことはできず、当初の目標を達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を再延長する。平安後期の大峯信仰関連の文献における〈過去〉の創出行為を実証する論文を発表すること(計画5)、及び園城寺光浄院蔵書の基礎調査を遂げること(計画4の一部変更)の2件を最優先させ、それらの成果を含めて本研究を総括する。
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