研究課題/領域番号 |
19K00322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保田 啓一 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (80186452)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 成島信遍 / 冷泉為村 / 江戸冷泉派 / 久遠寺 / 毛利重就 / 冷泉家 / 幕臣文化圏 / 池田教金 / 仁木充長 / 江戸冷泉門 / 荷田在満 / 徳川吉宗 / 幕府書物方日記 / 田沼意次 / 田沼意行 / 成島錦江 / 島帰徳 / 鳴鳳卿 / 近世和歌 |
研究開始時の研究の概要 |
近世中期の江戸で、八代将軍徳川吉宗に近侍する文化官僚として活躍し、和漢全般にわたる学識の深さ、文学活動の達成度、さらには多岐にわたる人脈の中で発揮された人柄の良さによって、「江戸の名物」と称された幕臣成島信遍(1689-1760)の72年に及ぶ生涯の事績を年譜形式でまとめ、さらに信遍の文芸観・処世観を伝える資料を収集し、公刊することにより、これまで一般には決して著名ではなかった信遍の真面目を、彼の生きた時代に即して評価する試みである。 信遍が体現する近世中期江戸文壇の内実が、より広くより深く理解されることを念じて研究を展開する。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、成島信遍の伝記研究を年譜稿という形で行うとともに、信遍の属する 江戸冷泉派の歌壇の全国的な展開の一環として、冷泉家と長州藩主毛利重就との密接な関係を資料に基づいて明らかにする論文を発表した。毛利家の資料から窺えることは、冷泉為村にとって、毛利家のような規模の大きい外様大名を門人として招き入れることは、冷泉家の経済への寄与が極めて大きく、重就を顧客として丁重に遇する姿勢が顕著に見られるという点である。宗匠である為村より門下の重就の方が立場が上であるという認識を得たことで、これまでの文学研究で当然のように語られていた文学至上主義が幻想にすぎないことを改めて実感するに至った。 また、江戸の冷泉派武家歌壇と俗文芸界の接点を、大田南畝を中心に据えて観察する試みも形を成した。南畝が成島信遍以下の冷泉門の幕臣達に限りない憧憬を抱き、和文の会への参加を慫慂した意図を推測する中で、従来南畝の文名に惹かれて南畝のもとに集まったと見られた和文の会の見方を根本的に改める必要性を述べたのは、近世文学研究に大きな影響を与えたと考えている。 信遍の伝記研究は、寛延2年(1749)61歳までの事績をまとめた。特に身延山久遠寺の住職日潮との交流について、新たな知見を得たことの意義は大きい。 幕臣文化圏と大名家との関わりについては、佐久市池田家の伝存文書調査を継続して行う中で、岩村田藩内藤家関連の文芸資料その他を多数見出し、改めて地方に散在する資料の調査の重要性を痛感したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度からの3年間、新型コロナ流行のため、東京その他の図書館・資料館等での調査収集が行えなかったことの影響が大きい。長野県佐久市の池田家資料調査のみは継続して実施できたが、基幹となる資料の調査が不十分のため、研究の取りまとめに支障が出た。1年間の延長が認められたので、信遍の終焉までの年譜作成に全力を尽くし、可能な限り年譜の公表に従事したい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は東京の国文学研究資料館ほかの調査収集に従事するとともに、年譜稿の既発表分の取りまとめと、新たな事項の執筆にかかる。出来れば出版という形での公表に踏み切りたい。
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