研究課題/領域番号 |
19K00329
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
大森 英実 (木内英実) 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (70331501)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中勘助 / 仏教学 / 印度学 / 児童文学 / 俳句 / ジャータカ / マハーバーラタ / 第二次世界大戦 / 人間社会批判 / 雷の太鼓とチャルメラ / ひばりの話 / 教科書 / パーリ語古訓話 / 印度哲学 / 戦争詩 / 看取り / 名誉の戦死 / 個人的エピソード / 国語科教科書 / 旧制中学 / 教科書教材 / 文学評価 / 日本近現代文学 / ウイーン大学 / フンボルト大学 / ベルリン国立図書館 / ベルリン日独センター図書館 / 国際性 / 印度学・仏教学 / 第二次世界大戦中・戦後 |
研究開始時の研究の概要 |
中勘助の第二次世界大戦中・戦後の矛盾をはらむ2系統の創作(戦争詩と宗教的作品)を超越的文化バイアスの側面から考察し歴史的位置づけを明らかにするため、次の4つのアプローチによって研究を進める。(1)森鴎外等によるヨーロッパ言語に翻訳された印度学仏教学資料受容と中勘助のそれら受容との方法及び内容の比較。(2)静岡市所蔵中勘助関係資料内に存在する2系統の戦中・戦後創作の草稿・メモ・直筆原稿等の調査。(3)中勘助同時代の高村光太郎、尾崎喜八等の戦争詩調査。斎藤茂吉・吉井勇等国内外のヒューマニズム詩人による戦中・戦後の創作との比較。(4)国外での森鴎外・石川啄木・中勘助に関連したジャパノロジー研究調査。
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研究実績の概要 |
普遍的価値を有する印度学資料及び仏教学資料と関連した2022年度の調査研究結果として以下①②が挙げられる。 ①中勘助の第二次世界大戦前後の創作における人間及び社会批判の視座について「中勘助の仏教童話及び仏教童謡詩におけるJataka等聖典の受容」と題し、日本印度学仏教学会第73回学術大会<於:東京外国語大学(オンライン)>にて2022年9月3日に口頭発表(単独)し『印度學佛教學研究』<71巻2号>日本印度學佛教學会(2023年3月)に単著として発表した。 ②2022年に九州大学岡野潔教授のご教示により典拠資料が「マハーバーラタ」「ヒトーパデーシャ」であると判明した中勘助の第二次世界大戦前後創作詩2編の位置づけについて、「中勘助の戦中・戦後の詩業におけるインド叙事詩『マハーバーラタ』の影響-『涼しき蔭』及び『山がつとはしばみ』を中心に-」と題し日本比較文学会第60回東京支部大会<早稲田大学文学学術院(オンライン)>にて2022年10月15日に口頭発表(単独)をした。 その他、中勘助の第二次世界大戦中に創作が開始された句作について、2021年静岡市に塩田惠氏より寄贈された中勘助直筆句稿を対象にした研究調査を2022年度に行った。その資料は戦中に中勘助が静岡で創作した俳句を記し、1946年4月末、塩田惠氏父君の故塩田章氏(当時、ボルネオ島より復員)に中勘助が手渡したものであった。それについて塩田氏と深い縁のある俳人・新堀邦司氏の協力を仰ぎ、塩田惠氏及び静岡市の許可を取った上で中勘助直筆句稿部分及び故塩田章氏直筆詞書を翻刻、俳句に解題を付し、中勘助文学における当資料の位置づけを調査した。その研究結果を「中勘助の静岡時代の俳句について-塩田章氏旧蔵中勘助直筆句稿『鶴』を中心に-」『東京都市大学人間科学部紀要』<第14号>(2023年2月)pp.1-38にまとめ発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年4月に行われた学科名称変更及びコース制新設等を見越し2022年度に東京都市大学人間科学部における担当授業コマ数が増加した。Covid-19感染状況が収束したことに伴い静岡市への移動制限解除があったものの、上記の理由により、静岡市中勘助文学館における中勘助直筆資料調査を目的とした出張が中々叶わなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
静岡市中勘助文学記念館への出張を定期的に実施可能な研究環境の変化(大学の異動)に伴い、中勘助直筆資料調査を行う。 原典資料の読解に注力できなかったため公刊を見送った上記「研究実績の概要」掲載「中勘助の戦中・戦後の詩業におけるインド叙事詩『マハーバーラタ』の影響-『涼しき蔭』及び『山がつとはしばみ』を中心に-」と題した研究について、公刊を目して調査を継続して行う。 児童文学という形式及び方法を用いて人間・社会批判を行うという中勘助の視座や文学の方法に近似する中勘助と同時代の海外の文学者を発見することができたので、その作家の視座と文学の方法を調査し、超越的文化バイアスという本研究の核心にアプローチする。 2023年度前期に研究成果発表のためのHPを立ち上げる。2023年度中に研究成果発表のシンポジウムを開催したい。
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