研究課題/領域番号 |
19K00332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中嶋 隆 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40155718)
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研究分担者 |
稲葉 有祐 和光大学, 表現学部, 准教授 (90649534)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 出版メディア / 浮世草子 / 市野や物語 / 矢数俳諧 / 好色伊勢物語 / 武道色八景 / 平野屋吉兵衛 / 江戸版 / 西鶴 / 談林俳文 / 好色一代男 / 桃林堂蝶麿 / 近代初期文芸 / 江戸版浮世草子 / 誹諧独吟一日千句 / 好色美人相撲 / 中村七三郎 / 永田長兵衛 / 西村半兵衛 / いくのの草子 / 改題本 / 留板 / 近世初期浮世草子 / 男色歌書羽織 / 好色本 / 仮名草子 / 書肆 / 書誌 |
研究開始時の研究の概要 |
近世初期(元禄末年以前)に成立した浮世草子を中心とした散文作品のなかから、書肆が創作に強く関与したと推定される作品、および俳諧師を作者にした作品について、書誌調査と本文翻刻のデータベースを作成する。図書目録類には、初版と後版の区別をせず奥付を記載するのが常である。またウェブ上で公開されている図版は、板木を改刻した痕跡が不分明な場合が多い。原本を閲覧して、紙質や板木の状態を確認することが版本書誌研究の基本となる。本研究では、その基本に戻って刊(刊行時)・印(印摺時)・修(修訂時)を厳密に調査した書肆データを作成する。この作業自体が考証研究であり、推論の根拠を明確にしたデータを提供する。
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研究成果の概要 |
演劇と小説との様式的複合が見られる作品として、貞享5年刊江戸版『市野や物語』に焦点を当てた。小説と演劇との様式的複合は、事実と虚構とが作中に並存し、小説に時事性が付与されるなど、文芸の多様化をもたらすこととなった。 俳諧師西鶴の創作した小説の新しさは、読者の想像力が、異なる文脈の衝突から、新しい意味を創造した点にある。この関係は、前句に付句をぶつけて、打越と前句とは異なる意味世界を創造する俳諧連歌の方法と共通する。西鶴の矢数俳諧は、複数人の創作共同体を、一人の創作者と不特定多数の享受者に変質させた。西鶴小説の作者と読者との関係は、上/下の啓蒙的関係にあるのではなく、水平的関係にある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では十七世紀の小説(仮名草子・浮世草子)を考証するにあたって、書肆作者と俳諧師作者の創作した小説を対象にした。メディアの主導した江戸期の文化現象の始原として十七世紀を位置づけたからである。本研究は、誹諧史・小説史・演劇史といったジャンル別文学史ではなく、諸ジャンルが渾然とした文化状況から、次第に様式性が確立されていく様相を俯瞰する文学史を構築することを最終目的にした。文化表象に出版メディアが介在する点では、江戸時代は、中世以前の文化状況と様相を異にする。一般的には江戸時代の小説は「古典」とされるが、むしろ近代の文化現象に近似しているとさえ言えよう。
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