研究課題/領域番号 |
19K00338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 長崎外国語大学 |
研究代表者 |
松本 真輔 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (60816841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 聖徳太子伝 / 説話 / 中世文学 / 近世文学 / 千厓文庫 / 聖徳太子 / 伝記 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、千厓文庫(早稲田大学中央図書館)所蔵資料を中心とした近世聖徳太子伝の資料学的基礎調査を目的とするものである。聖徳太子伝の種類は多岐にわたるが、近世のものに関しては寛文版本が翻刻紹介されているほかは、ほとんど進展がない状態が続いている。そこで、従来の成果において手薄とされる近世聖徳太子伝資料を多く含む千厓文庫の聖徳太子伝を中心に調査・分析を行い、基礎的な資料の提供を行っていきたいと考えている。
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研究実績の概要 |
『日本文学研究ジャーナル』29号(2024年3月)に「『橘寺聖徳太子伝記』における橘寺関連記事」を発表した。早稲田大学中央図書館千厓文庫蔵『橘寺聖徳太子伝記』の成立に関する論考である。同書については、既に「翻刻早稲田大学中央図書館千厓文庫蔵『橘寺聖徳太子伝記』(上)(下)」(『古典遺産』六〇、二〇一〇年、同六二、二〇一三年)に翻刻を掲載したが、あくまで資料紹介で、内容に関する考察は行うことができなかった。本書は、上下二巻からなる写本で、成立年代・作者は未詳。内容は中世の聖徳太子伝を踏まえて編纂されたものだが、近世に作られた可能性も十分にある。上巻は聖徳太子の生前から十五歳までの事跡を、下巻は上巻からの続きで十五歳から二十一歳、そして三十五歳の事跡が記されている。二巻に分けられているが、上下は連続した文章である。 『橘寺聖徳太子伝記』の成立年次は不明であるが、本稿では、近世成立を視野に入れつつ、四天王寺本・叡山文庫本・鶴林寺本『太子伝』(15~16世紀)との比較を行った。これらのうち、特に四天王寺本は内容だけでなく表現までも一致する部分が多く、分量的に比較すると、『橘寺聖徳太子伝記』は四天王寺本系統を大幅に省略した形になっている。記事内容に出入りがあって直接的な関係をいうのは難しいが、基本的に両者は同じ系統に属する聖徳太子伝である。また、表題にある橘寺に関連する記事を見ていくと、全体としては「橘寺」が登場するのはごく一部で、三十五歳条をのぞくと、本筋には関係のない遺物との結びつきで登場するにすぎないのだが、その分、あえて橘寺の情報を取り入れていると見ることも出来るだろう。また、その情報の多くは中世に生まれた説だが、近世の略縁起なども視野に入れた方がよいと思われるものもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、早稲田大学中央図書館千厓文庫に収められている近世聖徳太子伝の基礎的な調査を行うことにあるが、感染症の流行により県外での調査が難しくなった時期があり、実質的な課題遂行が困難な状況がおよそ一年程度あった。進捗の遅れはこれに起因するものである。
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今後の研究の推進方策 |
感染症の流行により県外での調査が難しくなった時期があり、実質的な課題遂行が困難な状況がおよそ一年程度あったが、現在は移動の制限もなくなり、早稲田大学中央図書館千厓文庫での調査を継続していきたい。
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