研究課題/領域番号 |
19K00346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉良 史明 長崎大学, 教育学部, 准教授 (50707833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中島広足 / 青木永章 / 木下逸雲 / 舶来趣味 / 異文化融合 / 川原慶賀 / 西洋遠近法 / 近世後期長崎 / 唐物 / 沖安海 / 桂園派 / 近藤光輔 / 書画帖 / 煎茶 / 唐物趣味 / 大和復古趣味 / 神国思想 / 句題和歌 / 来舶清人 / 松浦煕 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世後期から末期の長崎において融合した洋の東西の文化が他の地域に伝播していく模様を実証的かつ共時的に解明することを目的とする。 近世後期長崎文苑の中核を担った国学者中島広足、絵師木下逸雲、諏訪神社大宮司青木永章の三者を介して西国の大名・豪商・豪農等に長崎の文化が波及していく有りさまを検証することにより、同時期の長崎から他の地域に異文化が伝播していく模様、また各地域おける異文化融合の内実が浮き彫りとなり、さらには明治前夜における日本近代化の新たな一面を浮かび上がらせることが期待される。
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研究実績の概要 |
今年度は、今までの文献資料調査の成果を踏まえて、その成果を広く公表していくことに取り組んだ。 まず令和5年度西日本国語国文学会長崎大会において、学会の開催に合わせて「近世後期長崎の雅会の世界―鎮西大社諏訪神社および原田家蔵の資料展―」の展示を行った。研究計画にも記載している諏訪神社蔵の進出資料である社家関連の文書群、また中島広足自筆稿本群、さらには広足知友の南画家木下逸雲関連資料である原田家資料、以上の主たる史資料の一部を展示し、さらに資料解題を執筆した。 また、近世後期長崎文苑に関する論攷「近世後期長崎の実景―中島広足と川原慶賀―」(『長崎学』第8号、2024年3月)を執筆し、広足が『樺島浪風記』の野母崎冲の描写において西洋絵画の遠近法に通底する風景描写を行っていたこと、そしてその背景には長崎港を描いた川原慶賀「長崎港図」等の洋画からの何がしかの影響があること、さらには長崎港を眼下に見渡せる長崎の小高い丘に当時長崎の豪商・地役人等が好んで別業を築き、その家の記を広足に好んで描かせていたことを明らかにした。 さらに、「中島広足『樺島浪風記』試注(六)」(『鯉城往来』第26号、2024年1月)においては、『樺島浪風記』の漂流から生還に至る記事に詳細な注釈を施し、嵐の描写にあたり広足が『源氏物語』『方丈記』等の表現を踏まえていたこと、また嵐から無事生還出来たことを表現した「神の御ちはひ」の語には本居国学の影響が見て取れることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画書に記載した文献調査資料の成果報告として、西日本国語国文学会における展示を出来たことは一定の成果をあげたと評価出来るが、当初予定していた調査資料の画像データベース等の公開が遅れていることから、上記の判断を下した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長したことに伴い、次年度にかけてデータベースの公開、さらに文献調査の成果に基づく論攷の執筆および公刊を続けていく。
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