研究課題/領域番号 |
19K00349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
斉藤 鉄也 淑徳大学, 経営学部, 教授 (70317303)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 源氏物語写本 / 本行本文 / 仮名字母 / 表記 / Ngram / 教師なし分類 / 写本 / 書写者推定 / 尾州家河内本源氏物語 / 大島本源氏物語 / 紅梅文庫旧蔵本源氏物語 / 計量文献学 / 源氏物語 / クラスタリング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、古典籍の本文に対して、計量文献学の方法を用い、これまで文学や文献学分野で提案されてきた古典籍の「通説」を検証する「仮説検証」や、文学や文献学分野へ本調査結果を用いた「仮説提案」を行うことである。本研究では、出版や公開されている写本(影印本)の持つ変体仮名の本文をデータとして収集し、分析方法として計量文献学の複数手法を適用し、 年代推定、著者(書写者)推定に関する知見の蓄積を目指している。調査対象として、資料が多く残る藤原定家関連の書写資料、源氏物語の写本を中心とし、年代や書写者の推定を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度も昨年度までと同様に、計量文献学手法を用いた源氏物語写本の本文調査を行なっている。調査は、「誰がどの写本を親本として用いて、現存する写本を作成したか」という疑問に対して、仮名字母の出現傾向を用いて書写者を調査し、本行本文の表記を用いて親本の調査を行なっている。本年度は、昨年度までに提案した写本分類に必要な尺度に基づき、『源氏物語』写本を対象とした、仮名字母の相違や表記の異同を考慮した本文データの入力と、教師なし分類手法による書写者の推定と本文の分類を行った。調査結果は論文及び学会発表にて報告している。これまでに調査した源氏物語写本の本文データは、今後の新しい写本調査の際の比較対象となるため、写本調査の進展に伴い、何らかの写本間関係が指摘できる写本の発見が期待できる。
具体的には、鎌倉時代中期の写本を対象とした「仮名字母の出現傾向を用いた『源氏物語』写本の調査」と、室町時代後期の写本を対象とした「後柏原院本『源氏物語』の仮名字母と本文表記」を行った。また、EAJS2021にて「変体仮名を用いて写本の書写者と書写年代に迫る」と題して発表した内容を論文化し、「日本古典文学を世界にひらく」(共著)として出版した。また、第十六回ワルシャワ大学日本祭ワルシャワ大学における東洋学の成立90周年記念国際会議にて、正徹本『源氏物語』の分類結果をオンライン発表している。
本研究は、仮名字母とその表記の点からの本文調査のため、これまで奥書といった写本間関係を示す手がかりがない写本であっても、写本の本行本文に現れる用字に着目した視点から写本の位置付けを明らかにできる可能性がある、と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、出版またはインターネット上で公開されている源氏物語写本を対象に、本文データ入力とその分析を順調に実施できた。本年度の調査により、出版され利用が容易な『源氏物語』写本の本文データ入力は終了したと考えている。加えて、写本の紙焼きを入手できた源氏物語写本の本文データ入力も実施できた。これらの写本本文に関しては、今後調査報告をする予定である。今後も継続的に調査報告を実施できる見通しが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
出版またはインターネット上で公開されている源氏物語写本と、それらと文献学の点から関連が指摘されている写本、写本の紙焼きを入手できた源氏物語写本を対象に、本行本文の用字、特に仮名字母と表記の点から「誰がどの写本を親本として用いて、現存する写本を作成したか」という疑問の解明を継続していく計画である。加えて、現在取り組んでいる以外の、新たな調査方法を検討している。
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