研究課題/領域番号 |
19K00351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
一戸 渉 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (20597736)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 国学 / 好古 / 松平定信 / 橋本経亮 / 藤貞幹 / 契沖 / 佚存書 / 和学 / 上田秋成 / 文館詞林 / 学芸史 / 近世文学 / 和学・国学 / 近世書道史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近世後期の復古的潮流について、学問と芸術的実践とを包括的に指し示す〈学芸〉の観点から検討を加えるものである。ここでいう「復古的潮流」とは光格天皇の時代に行われた朝儀祭祀の再興や復古的な内裏造営といった実践に加え、18世紀後半以降に顕著となる古典研究をはじめとする和学や有職故実・好古・考証学といった学問の全国的な流行現象をも含む、いにしえの自国の制度や文物へ向けられていたさまざまな関心の総体のことである。本研究では資料の調査と精読に基づく検討を進めてゆくことで、自国のいにしえへと向けられた日本人の関心が決して一枚岩ではなく、極めて多様なものであったことを、実証的かつ総合的に解明してゆく。
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研究成果の概要 |
本研究は近世期の復古的潮流について、学問と芸術的実践とを包括的に指し示す〈学芸〉の観点から検討を加えたものである。本研究を通じて、18世紀後半の国学者・好古家である橋本経亮の旧蔵資料1200点の総体を初めて明らかにし、また目録及び展示図録を刊行した。また近世を代表する国学者である契沖の遺著を伝える「契沖著述稿本類」(重要文化財)の調査研究を行い、契沖自筆稿本の断簡をあらたに発見した。更に灘の豪商であった吉田家の好古活動に関する検討を行い、国立歴史民俗博物館での企画展に協力した。このように本研究は、自国のいにしえへに向けられた日本人の関心の多様なありようを、資料に基づいて実証的に解明してきた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、近世日本の復古的潮流について考察する上で必要な基礎的資料の整備を大きく進めた。例えば本研究が取り上げた橋本経亮の旧蔵資料には中国で失われた佚存書『文館詞林』や東寺伝来資料など、代表者の専門分野である近世日本文学のみならず、幅広い学術領域に関わる資料が含まれており、またそのいずれもが新出資料である点に学術的意義を有する。自国の過去の歴史や文化に近世期の日本人がどのように向き合っていたのかを考究する本研究は、本邦における人文学の歴史を捉えなおそうとする試みでもあり、その意義を絶えず問われ続けている今日の人文学全般にとって、ひとつのモデルケースを提示するものともなると考える。
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