研究課題/領域番号 |
19K00353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中丸 宣明 法政大学, 文学部, 教授 (80198184)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 草双紙 / 19世紀文学 / 小新聞 / 書籍行商社 / 唄本 / 新聞販売 / 岡田常三郎 / 高橋友太郞 / 明治戯作 / 新聞 / 読売り / 書生節 / 付録 / 講談速記 / 探偵実話 / 雑報記事 / 三面記事 / 街談巷説 / 自然主義 / 附録 / 赤本 / 日本館 / 戯作 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで近代の文学といえば、明治以降の知識人による知識人のための文学という性格が前面に考えられてきたが、実際に、一般の非知識人を多く含む人々が消費する文学のありかたは等閑に付されてきた。本研究では、近世期の戯作文学がいかに明治以降命脈をたもち、どのような形で明治以降「文学」として存在したか、明治以降の非知識人も多く含む「大衆」がそれをどのように享受したのかということの実態を明らかにする。それによって、日本の近代の文化のありかたのこれまで考えられてこなかった面に光を当てたい。
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研究成果の概要 |
明治前期の新聞販売の過程の中で、新聞の呼び売りをになう業務から新聞に附属する出版物の出版を手がけることとなった書籍行商社(後に日本館と改名)の出版活動の実態を実証的に解明(出版書目および書誌情報の収集、データーベース化)した。そしてそれらの出版物が明治期の「小新聞」が「中新聞」化(日清戦後成長した「市民層」向けのクオリティーペーパー化)するさい、切り捨てた「小新聞」的なるものであった。それらは暦などの日常の生活情報であったり、ゴシップ的ニュースであったり、通俗的読み物であったり、詩歌の投稿欄であったりしたわけであるが、それらは江戸期の草双紙的読み物の伝統を受け継ぐものであることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は江戸幕末期の所謂戯作文学が、どのように明治期の文学に受け継がれたかを明らかにした。明治期になると新しい出来事を伝える新聞が発達するが、卑近な日常の情報の提供を担った「小新聞」の担い手には江戸期の戯作者たちが当たることになる。彼らは巷のニュースや新時代の情報などを面白おかしく報道するが、その手法は江戸期の合巻や人情本の伝統を受け継ぐものであった。しかし、新聞が「近代化」する過程でそれらの要素は新聞から切り離され、新聞周縁の出版物へと分離する。その版元の代表が日本館であった。それらの出版物20世紀に入る頃には、講談・落語の速記本の流れと合流し「大衆文学」の源流となる、という筋道を解明した。
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