研究課題/領域番号 |
19K00369
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浅見 洋二 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70184158)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 文学テクスト / 公私 / 蘇軾 / 詩 / 詞 / 書簡 / 文集 / 詩詞 / 陸游 / 社会的圏域 / ネットワーク / 公 / 私 / テクスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①「蘇軾の書簡と文集に関する文献学的研究」、②「蘇軾の詩詞と書簡の相互連関に関する研究」、③「蘇軾の書簡と奏議・詔勅・策論との比較研究」の三つを基軸に据えて行われる。 ①は、蘇軾の書簡について、各種文集の編纂状況と関連づけながら考察する基礎研究である。 ②は、蘇軾の詩詞および書簡テクストの社会的存在形態について、相互の連関に焦点を当てて考察を加える。 ③は、書簡という私的要素の強いテクストと、その対極に位置する奏議・詔勅・策論といった公的要素の強いテクストとを比較・対照する形で考察を加える。
|
研究成果の概要 |
中国宋代を代表する文人蘇軾の詩詞・書簡およびその文集編纂について、文人を取り巻く社会的圏域を視野に入れながら考察を加えることにより、主として以下の点を明らかにした。 (一)詩詞や書簡は、専ら公的な社会圏域に属する詔勅や上表とは異なって、私的な圏域と公的な圏域との両者にまたがって制作・受容されるテクストである。蘇軾の詩詞・書簡には、そのような特徴が従来になく鮮明に現れている。 (二)政治犯として罪に問われた蘇軾の作品は弾圧を受け、公的な圏域に受け入れられなかった。しかし、蘇軾はその弾圧をかいくくぐるようにして私的な圏域において詩詞・書簡を書き続けた。そこには蘇軾独自の表現戦略が窺われる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の文学研究は、ややもすると文学作品本体の文学性を中心に据えて行われる嫌いがあった。それに対して本研究は、作品をとりまく社会的圏域の在り方を視野に入れた点で独創的な学術的意義を有する。 本研究では特に「公私」という観点から、蘇軾の文集に収められた詩詞・書簡を検討し、そこに表現された文人の「私」的世界が、「公」的な社会圏域との間にいかなる緊張関係を有しているかを明らかにした。これは、「公」と「私」の関係性が急速に変容を強いられている現代社会における個人の在り方を省みるうえでも参考の価値がある。その点において、一定の社会的意義を有すると考えられる。
|