研究課題/領域番号 |
19K00373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
上原 徳子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50452917)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中国古典小説 / 翻案 / 受容 / 翻案作品 / 中文英訳作品 / 中国近代知識人 / 林語堂 / 翻案小説 / 翻訳 |
研究開始時の研究の概要 |
中国古典小説研究の黎明期、中国では魯迅を代表とする学者が、中国の古典小説を再評価すべく、資料の整理・校訂を行った。さらに、五四運動以降、中国の知識人達は白話小説を評価し、それを自国の新たな文化創設に資するために利用しようとした。この過程において、日本や欧米の考えが多く取り入れられたのだが、一方で、中国文化、中国文学を欧米に紹介すべく、いわば外向きの発信を試みる動きもあった。本研究は、対象として、在外華人として古典小説の翻訳を行った林語堂を中心に、彼らの言論活動及び実際に書かれた英訳作品の調査を中心に行い、そこから彼らの古典小説概念形成への参与情況について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、本来海外での文献調査から、課題の考察を深めることを目的としていた。しかし、研究2年目にコロナ禍となり、方向性を修正した。近年は、様々な分野で翻案という考え方を通して文学作品の分析や検討がされていることから、本研究の対象をより有効にとらえなおすことができると考えた。分析対象とした映画は、原作と異なる構成となったが,完成作品では脚本の饒舌さがそぎ落とされ,観客自身が画面外の物語を含めて鑑賞する作品となった。この翻案が,紆余曲折を経て古典小説と同じように「多くを語らない表現」に行き着いたところにこの映画の特徴が有ったのであり、その表現方法自体が古典受容の一つの形だったという結論を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義としては、海外で出版された明代白話小説の英訳本を調査した結果、西洋で好まれる中国古典小説の題材の選定の傾向や、訳者が比較的入手しやすい中国古典小説を使用したのではないかという仮説が導かれたことが挙げられる。国際学会での口頭発表を通して、中国および欧米在住の研究者と意見交換できたことも収穫であった。また、唐代伝奇小説の翻案作品について調査したことで、映画とその原作である唐代伝奇小説との内容の比較を行い、現代人が古典作品の受容のあり方を考察することとなった。古典作品を現代の映像娯楽作品に翻案する現象にまで分析範囲を広げられたことは派生的成果といえよう。
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