研究課題/領域番号 |
19K00386
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中村 隆 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (00207888)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 『パンチ』 / 漫画(カートゥーン) / ホガース / エロス / パロディ / 聖母子像 / ピエタ / イギリス18世紀 / 乳房 / 版画と漫画 / 版画の貨幣価値 / ポルノグラフィー / 図像学 / ロンドン万国博覧会 / クリスタル・パレス / 旅行産業 / 公衆衛生 / 四辻清掃人 / メイヒュー / 最低貧困層 / 1コマ漫画 / リーチ / テニエル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1841年の創刊以来、150年もの長きに渡り、同時代の社会・風俗を語る証人であり続けた絵入り諷刺雑誌の『パンチ』の「1コマ漫画」の画像解析を手がける。対象とする図像は1頁全面を満たす1コマ漫画(cartoon)である。それらに「図像学」(iconography=イコノグラフィー)の方法論を用いて、分析を施した上で、図像のモティーフ・イメージ・物語・寓意等を分析する。あわせて、図像の背後にある政治・経済・社会・文化状況を捉えた文献資料の読み込む。そのような文献の主体は挿絵や漫画と相即不離にあった『パンチ』の種々の記事と文学作品をも含むヴィクトリア朝の膨大な文字テクストである。
|
研究成果の概要 |
(1)『パンチ』の漫画は先行するホガースの版画の影響下にあった。すなわち、漫画の基盤となる「コマ割り」を有していたホガースは、のちの漫画の祖型である。(2)ホガースの時代の貨幣価値の分析をした。そして、ホガースの時代(18世紀前半)の1ポンドは、日本円で約42,000円と推定した。(3)当時の版画の購買者が熱望していたエロス的需要に応えるものとして 「乳房」の要素を高い頻度で組み込んだ。(4)ホガースは西洋の伝統的な絵画である「歴史画」のパロディ(模倣によるからかい)を頻繁に利用した。典型的なトポスは、「聖母子像」と「ピエタ像」である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究が十分ではないホガースの版画に注目することで、ヴィクトリア朝を代表する漫画週刊誌である『パンチ』の原型を跡づけることができた。ホガースの時代の貨幣価値について推定したことは、本研究が提示する斬新な知見である。ホガースの版画が売られていた時代(18世紀前半)の1ポンドは、等価物の比較考察などから、現代の日本円でみると約42,000円と推定できる。以上の研究成果の集大成として、山形大学出版会から『ホガースの時代ー版画で読むイギリス』(2023年3月15日、257頁)を上梓し、その意義を広く社会に問うことができた。
|