研究課題/領域番号 |
19K00388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 光 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80296011)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ウィリアム・ブレイク / ウィリアム・モリス / 寿岳文章 / 比較文学 / 比較文化 / 鶴見俊輔 / 大江健三郎 / W. H. ハドソン / 書物論 / 英文学 / 思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
ウィリアム・ブレイクとウィリアム・モリスを社会改革を志した思想家としてとらえたとき、ブレイクの自他共生思想はどのようにモリスに受け継がれたのだろうか。本研究では、(1)分業、(2)商業、(3)ゴシック芸術観という三つの観点から調査を行う。また、柳宗悦の民芸思想を適宜参照することによって、ブレイクとモリスを相対化し、彼らの主張の特色を浮き彫りにする。ブレイクとモリスとの間にマルクスが登場したことを考えれば、両者の思想は似て非なるものであることが予想される。私利私欲に基づく競争社会とは異なる秩序を目指して、ブレイクとモリスがそれぞれ育んだ社会思想の実態を明らかにしたい。
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研究成果の概要 |
ウィリアム・ブレイクとウィリアム・モリスの自他共生思想が、寿岳文章、鶴見俊輔、大江健三郎に与えた影響の一端を明らかにした。寿岳の「書物の共和国」という概念は、反対意見の役割に価値を置いており、ブレイクの「対立とは真の友情である」という言葉の延長線上にある。寿岳はブレイクの愛読者であったW. H. ハドソンに人と自然との共生の手掛かりを見出した。寿岳の共生思想への関心の萌芽は、ブレイクと仏教を関連付けた卒業論文に見ることができる。鶴見俊輔は話し合いに基盤を置く共同体の倫理をモリスのユートピア論に見た。大江健三郎は人間存在の持続という主題を描くために、ブレイクのテクストを再編して活用した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
寿岳文章の仕事については、特定非営利活動法人向日庵が資料の保存と整理を進めている。本研究計画に基づいて執筆した寿岳関係の諸論文は、機関誌『向日庵』に掲載されており、ウェブサイトにて閲覧可能である。W. H. ハドソンとブレイクとの関係については、ブレイク研究において充分に調査されておらず、ブレイク研究のオンライン学術誌Blake/An Illustrated Quarterly誌(ロチェスター大学刊)の研究動向欄で、本研究での発見を報告した。鶴見とモリス、大江とブレイクについても、新発見の事実をもとに論文を発表した。ブレイクとモリスの共生思想の受容史研究に一定の貢献ができたものと思われる。
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