研究課題/領域番号 |
19K00391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上原 早苗 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00256025)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 英語圏文学 / ヴィクトリア朝出版文化 / トマス・ハーディ / 検閲 / 本文改変 / イギリス小説 / 検閲研究 / 生成論 / Jude the Obscure / 草稿研究 / Jude the Obsccure / イギリス文学 / 書誌学 / 出版制度 / (自己)検閲 / 英文学 / ハーディ / 草稿 |
研究開始時の研究の概要 |
トマス・ハーディは『日陰者ジュード』の原稿を執筆するにあたり、幾度も修正したが、その生成過程の全容は明らかにされていない。本研究は、ハーディの自筆原稿およびゲラ内部の異同を検証することで、この小説の創作過程を解明しようとするうものである。研究者の間には、ハーディが『日陰者ジュード』執筆時に出版社の検閲を受け、性的な挿話・表現の多くを削除・修正せざるをえなかったとの言説が流布しているが、本研究では、この小説の創作過程を検証することにより、従来の説には解消されえない、出版社への抵抗ともいうべきハーディの改変作業に光をあてる。
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研究成果の概要 |
研究者の間には、ハーディが『日陰者ジュード』(Jude the Obscure)執筆時に雑誌編集者の「検閲」を受け、性的な挿話・表現の多くを削除・修正せざるをえなかったとの言説が流布している。それに対して本研究では、ハーディの自筆原稿および初版校正刷への書き込みを解読することで、『日陰者ジュード』の創作過程に迫り、従来の説には解消されえない、編集者への抵抗とも言うべきハーディの改変作業に光を当てた。「検閲」に抗ってハーディが表現をエロス化してゆくプロセスを、生成批評版という形で可視化させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の検閲研究では、「検閲」を出版社対作家、検閲者対被検閲者という二元論的図式で語る傾向にあるが、本研究では、そうした図式には解消されえない編集者と作家の「奇妙な」関係を浮き彫りにすることができた。また、従来のハーディ研究では、伝統的な書誌学に従い校訂版を編纂してきたが、本研究では、校訂版では可視化されにくい、本文改変の軌跡を触知しうる生成批評版を編纂することができた。なお、研究成果は研究代表者の単著(2025年10月刊行予定)によって社会に広く発信する。(注:生成批評版とは、バルトやクリステヴァなどのテクスト論を直接の淵源とする生成論的アプローチを導入したエディションのことである)
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