研究課題/領域番号 |
19K00393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野谷 啓二 神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (80164698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | デイヴィッド・ジョーンズ / モダニズム文学 / イギリスのカトリシズム / アナムネーシス / 反近代主義 / 後期モダニズム詩 / T.S.エリオット / ジャック・マリタン / トム・バーンズ / David Jones / 神学的モダニズム文学 / カトリック文学 / Jacques Maritain / Hans Urs von Balthasar |
研究開始時の研究の概要 |
これまで本質的に世俗的な性質のものと考えられてきたモダニズム文学の研究に、新たな次元を開く、神学と文学の学際的研究である。詩人と神学者がどのような共鳴関係にあり、神学がどのように作品の創造につながったのかを明らかにする。キリスト教神学を援用しつつ、ほとんど手つかずのままに放置されて来た、後期モダニズム詩人であるジョーンズの詩業を解読し、その背景にある彼の詩学と哲学の、中心観念を明らかにする。信仰がどのように文学作品に結晶化するのか、ジョーンズをケース・スタディとして問い、その解答がどれほど一般化できるものであるかも考えてみたい。
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研究成果の概要 |
モダニズム文学は従来、キリスト教からはかなり距離を置く世俗主義的なものとみなされてきた。しかし最近ではT.S.エリオットなど、創作原理をキリスト教神学との対話から得たとする「神学的モダニズム」研究が登場している。本研究はD.ジョーンズを対象に、モダニズム文学に見られる神学と文学の協働に光を当て、「聖体の秘跡」と詩創造との同質性の発見に着目する。「もの」(パンとぶどう酒)であるにもかかわらず、実体はキリストの体になるというカトリックの聖体理解と、making otherというモダニスト詩学の理念が一致し、秘跡とアート、司祭とアーティストの類比関係が成立すると主張するジョーンズの詩学を析出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はジョーンズの本格的な研究を通して、日本におけるキリスト教文学研究の活性化に寄与しようとするものである。我が国におけるジョーンズ研究はほとんど手つかずの状態であるので、「神学的モダニズム」という新たなモダニズム研究の観点に基づく研究の先鞭をつけるものと言えよう。日本のキリスト教文学研究機関としては、日本キリスト教文学会が存在しているが、どちらかと言えば日本文学研究の方が盛んであり、西洋文学の部門でも、プロテスタント文学が主流である。本研究は宗教改革以降の近代イギリスにおいて政治的にも文化的にもマイノリティの地位に置かれていたカトリシズムが、モダニズム文学に影響を与えていたことを示す。
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