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唯美主義と政治性の接点―モリス、バーン=ジョーンズ、クレインを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K00394
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02030:英文学および英語圏文学関連
研究機関三重大学 (2023)
高知大学 (2019-2022)

研究代表者

関 良子  三重大学, 人文学部, 准教授 (10570624)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード芸術と社会 / アーツ&クラフツ運動 / William Morris / Edward Burne-Jones / Walter Crane / 唯美主義 / Oscar Wilde / Walter Pater / アーツ・アンド・クラフツ運動
研究開始時の研究の概要

唯美主義は、一般に、芸術を社会改良の手段とする態度に批判して、芸術の到達目標を美のみと定めるものだと知られている。しかし、W.モリスやW.クレイン等、唯美主義の代表者とされる創作家は、「芸術のための芸術」をモットーとすると同時に、社会改良に対する強い考えを持っていた。本研究では、彼らのもつ政治性は、社会主義的傾向が強いため、政治の中枢とは異なる、いわばマイノリティーの政治思想としてこれまで一蹴されてきたのではないかと仮説を立てる。そして、従来の単純化された唯美主義の定義にメスを入れ、唯美主義者の社会性を「政治性」と捉えて精査することによって、彼らの社会思想の正統評価を試みる。

研究実績の概要

本年度は、いくつかの共同研究や発表の機会を得たことで、本研究課題を飛躍的に展開することができた。さらに、当初の計画にはなかった研究成果を上げることもできた。
まず、本年度第1回大会が開催された、複数の学会が合同で開催する「19世紀イギリス合同研究会」において、「モリスを代弁するワイルド―1882年北米講演ツアーに潜在するアーツ&クラフツ運動―」というタイトルの研究発表を行った。また、日本英文学会第96回全国大学のシンポジアム登壇者に選出され、2024年5月初旬に「「長いロマン主義」とモダニティ」というシンポジアム・テーマのもと「Dormant Romanticism―ヴィクトリア期の悩める詩人たち」というタイトルの発表を行うことになった。
前者はワイルドに注目したもの、後者はロマン主義の詩人と唯美主義の詩人を繋げる研究で、ペイターなどについて多く論じることになり、本研究課題の副題に挙げていた、モリス、バーン=ジョーンズ、クレイン以外の人物も考察の対象に含むことになった。これは当初の計画になかったことだが、それにより、本研究課題の主題にある「唯美主義と政治性の接点」が、実際には18世紀末のロマン主義の黎明期から存在していたことの確認につながり、飛躍的な展開と呼べるだろう。
本年度のもう一つの研究成果は、長年かけて取り組んでいたウォルター・クレインの基本調査を終えることができたことである。クレインについては、日本でも海外でも充分な研究がなされていないため、当初の計画よりも時間がかかってしまったが、クレインの活動の核となる部分を、一つの論文にまとめることができた。本論文は、より多くの読者を得てクレイン研究が進展することを願い、幅広い読者を得られるために、また、できるだけ早く発表できるようにするために、紀要論文として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、出産・育児による生活環境の変化、研究機関の移籍、新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢の変化ゆえに、進展が遅かったが、本年度は腰を据えて研究に取り組むことができたため、これまでの遅れを取り戻すことができた。

今後の研究の推進方策

来年度は、上に挙げた、ロマン主義と唯美主義を接続し、より広い視点から「唯美主義と政治性の接点」を論じた発表を、まず5月に行う予定である。その他、本研究課題に関連した内容で、まだ活字として発表していないものについては、できるだけ論文にまとめたいと考えている。また、今年度に完了したウォルター・クレインについての基本調査をもとに、クレインの詩作品・社会主義思想に関して、より発展的な調査を進めたいと考えている。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2019 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 5件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] アーツ&クラフツ運動の道のり―もう一人の立役者ウォルター・クレインの足跡―2024

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 雑誌名

      Philologia

      巻: 55 ページ: 1-27

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ローンボウルズと英文学とピリオドドラマ2022

    • 著者名/発表者名
      関良子
    • 雑誌名

      国際社会文化研究

      巻: 23 ページ: 1-17

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評:Medievalist Traditions in Nineteenth-Century British Culture: Celebrating the Calendar Year by Clare A. Simmons2022

    • 著者名/発表者名
      関良子
    • 雑誌名

      ディケンズ・フェロウシップ日本支部 年報

      巻: 45 ページ: 48-55

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 19世紀中世主義詩学に見られるメタヒストリー的歴史観2021

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 雑誌名

      Osaka Literary Review

      巻: 60 ページ: 19-42

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] (書評)ステファン・コリーニ(近藤康裕 訳)『懐古する想像力ーイングランドの批評と歴史』2021

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3374 ページ: 6-6

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 歴史言説からの 19 世紀中世主義の再理解2019

    • 著者名/発表者名
      関良子
    • 雑誌名

      日本英文学会関西支部 第13回 Proceedings(ウェブ公開)

      巻: -

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 詩人モリスの作詩法 ―Love Is Enough を題材に2019

    • 著者名/発表者名
      関良子
    • 雑誌名

      日本英文学会第91回大会Proceedings(ウェブ公開)

      巻: -

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] モリスを代弁するワイルド―1882年北米講演ツアーに潜在するアーツ&クラフツ運動―2023

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 学会等名
      第1回19世紀イギリス文学合同研究会(日本ギャスケル協会、ディケンズフェロウシップ日本支部、日本ハーディ協会、日本ワイルド協会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヴィクトリア朝文学・文化研究とその周辺2023

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 学会等名
      Philologia例会(三重大学英語研究会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ローンボウルズと英文学とピリオドドラマ2022

    • 著者名/発表者名
      関良子
    • 学会等名
      第44回ヴィクトリア朝研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 詩人モリスの作詩法―Love Is Enoughを題材に(シンポジアム第2部門「詩人ウィリアム・モリスを読み直す」)2019

    • 著者名/発表者名
      関 良子
    • 学会等名
      第91回日本英文学会全国大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [備考] 芸術家も、社会や政治を考える~ウィリアム・モリスらの思想

    • URL

      https://www.sekaiwokaeyo.com/theme/l2338/

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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