研究課題/領域番号 |
19K00394
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
関 良子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (10570624)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 芸術と社会 / アーツ&クラフツ運動 / William Morris / Edward Burne-Jones / Walter Crane / 唯美主義 / アーツ・アンド・クラフツ運動 |
研究開始時の研究の概要 |
唯美主義は、一般に、芸術を社会改良の手段とする態度に批判して、芸術の到達目標を美のみと定めるものだと知られている。しかし、W.モリスやW.クレイン等、唯美主義の代表者とされる創作家は、「芸術のための芸術」をモットーとすると同時に、社会改良に対する強い考えを持っていた。本研究では、彼らのもつ政治性は、社会主義的傾向が強いため、政治の中枢とは異なる、いわばマイノリティーの政治思想としてこれまで一蹴されてきたのではないかと仮説を立てる。そして、従来の単純化された唯美主義の定義にメスを入れ、唯美主義者の社会性を「政治性」と捉えて精査することによって、彼らの社会思想の正統評価を試みる。
|
研究実績の概要 |
出産・育児による2年間の研究中断期間を挟んで、本年度は本研究課題の2年目として研究を再開した。初年度に着手しながら未完了に終わっていた、ウォルター・クレインに関するの基本調査を重点的に行なった。ただ、新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢の変化と、出産・育児による生活環境の変化、また、本年度末で研究機関を移籍することになったための準備等が影響して、当初の計画どおりには進んでいないというのが正直なところである。 しかし、その一方で、当初の計画・見込みにはなかった研究成果を上げられた面もあった。それは、学内の共同プロジェクトとして参画しているローンボウルズ人文社会科学プロジェクトでの教育研究活動を通して、本研究課題の中心人物の一人であるバーン=ジョーンズ他、アーツ&クラフツ運動の芸術家らが、日常的にローンボウルズに興じていたことが判明し、そこから、モリスの社会運動の中での中心的主張の一つである「労働と喜び・労働の中の喜び」を、具体性をもって理解することができたことである。また、労働の合間に行う屋外でのレクリエーションが、アーツ&クラフツ運動の工芸家・芸術家らにとって、作品構想のための創造力の源となり、日常の中にある美の再発見につながったのだと考察した。この発見・考察を通して、唯美主義の主張の中にも日常性と政治性が存在することに気づけたのは、大きな成果だったと言える。 本研究成果については、幅広い読者を得られるようにと考え、年度中に学内の紀要論文に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上にも書いたとおり、新型コロナウイルス感染拡大による社会情勢の変化と、出産・育児による生活環境の変化、また、本年度末で研究機関を移籍することになったための準備等が影響して、当初の計画どおりに研究を進めることができなかった。しかし、その一方で、当初の計画・見込みにはなかった研究成果を上げられた部分もあったため、「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
現在が本課題の研究期間の折り返し地点にあるが、未完了に終わっている基礎調査の作業をできるだけ早急に済ませ、後半の具体的な調査研究・成果発表に着手するつもりである。
|