研究課題/領域番号 |
19K00404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
森 有礼 中京大学, 国際学部, 教授 (50262829)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アメリカ南部文学 / 冷戦 / フォークナー / 文学的失地回復 / 『ゴジラ』 / 日本訪問 / アメリカ文化外交 / Faulkner at Nagano / 『ゴジラ』(1954) / 太平洋戦争 / 国民的トラウマ / ドキュメンタリー映画 / 人種問題 / Michael Modak-Truran / 日本の印象 / 長野におけるフォークナー / 日本の若者達へ / 国民作家 / ウィリアム・フォークナー / 文化外交 / パターナリズム / モダニスト作家 / 日米文化外交 / 国民文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、冷戦期の日米両国における国民文学創生の必要性とその意義について、ウィリアム・フォークナーの政治的及び文化的役割に着目しつつ、特に南部文学の国民文学化という観点から再検証する。 冷戦期の文化外交において、反共イデオロギーを体現する国民的作家としてのフォークナーは南部文学の国民文学化することとなる。それは冷戦イデオロギーを脱政治化するプロパガンダでもあり、かつ日本におけるフォークナーの受容を通じて同国の戦後イデオロギーの形成をも促した。こうした状況を批判的に検証し、日米における戦後の国民文学の意義と、日本とアメリカ南部に共通する文学史上のポストコロニアル的状況を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、冷戦期の日米両国における国民文学創生の必要性とその意義について、ウィリアム・フォークナーの政治的及び文化的役割に着目しつつ、特に日米における南部文学の国民文学化という観点から再検証した。反共イデオロギーを体現するこの作家の1950年代の活動によって日米の冷戦イデオロギーは脱政治化され、且つモダニズム文学を人間主義に基づく文学形式として制度化することとなった。こうした戦後の状況と日米のフォークナーの需要と受容を批判的に検証することで、日本の南部文学研究が、フォークナーを戦後の日本を牽引する国民作家として再定義し、ポストコロニアル的状況に自ら参入していったことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、冷戦期の日米両国におけるフォークナーの政治的及び文化的役割について、国内外でほぼ初めて批判的な検証を行った点にある。米国におけるフォークナーの批判的再評価の現状を確認し、フォークナーの「脱政治化」が当時の冷戦外交の目的であり、そのために彼が国民作家とされたと共に、作家がその期待にいかに応えたかが明らかになった。またその社会的意義としては、フォークナーの日本訪問が与えた文化的・社会的影響が確認され、それは戦後の日本におけるアメリカとの関係再構築に必要な、「ポストコロニアル的状況から自立を目指す国民」というアイデンティティを提供した点にあったことが検証された。
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