研究課題/領域番号 |
19K00408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
田多良 俊樹 安田女子大学, 文学部, 准教授 (40510467)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | James Joyce / Louis J. Walsh / アイルランド / 北アイルランド / ナショナリズム / ユニオニズム / 政治性 / Deasy / Louis J Walsh / 民族主義 / 政治的読解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ジェイムズ・ジョイスとルイス・J・ウォルシュの伝記的な関係性と、小説作品の政治性を比較検討するものである。両作家は同じ時期に同じ大学に学び、卒業後に小説を出版したのだが、両作家の描くアイルランドは非常に対照的であるように思われる。そこで、民族主義に反対した南アイルランド出身のジョイスが北アイルランドをいかに表象し、民族主義を支持した北アイルランド出身のウォルシュが南アイルランドをいかに表象したのかを比較することによって、本研究はアイルランドの脱植民地化に対する文学的応答の地域的な差異を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本研究課題の研究対象となるウォルシュ作品のうち、The Guileless Saxon: an Ulster Comedy in Three Acts (1917)、Twilight Reveries (1924)、“Our Own Wee Town”: Ulster Stories & Sketches (1928)、および The Pope in Killybuck: A Comedy (1932) を精読することができた。これで、すでに精読が完了していた The Yarns of a Country Attorney: Being Stories and Sketches of Life in Rural Ulster (1917) と The Next Time: A Story of Forty-eight (1919) と合わせ、ウォルシュの主要6作品の分析が完了したことになる。そこに描かれるアルスターは、英国との連合主義の拠点としてではなく、南部アイルランドとの紐帯を希求し、ともに英国支配からの脱却を狙う民族主義的な地域として扱われていると考えらえる。その意味では、ジョイスの描くイギリス帝国主義と関係の深い都市としてベルファストと、きわめて対照的な「北部アイルランド表象」となっている点が興味深い。今後は、各作品の置かれた歴史的文脈を考慮に入れて、論文化できるよう努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度もコロナ禍の影響等で、北アイルランドにあるウォルシュの出生地および勤務地への現地調査が実現していない。上述のとおり、現地調査に行けなかったその時間をウォルシュ作品の精読や分析に割くことができたとは言え、2023年度が本研究課題の最終年度であることを勘案すれば、進捗状況は「遅れている」と評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度となる2023年度の夏季休業期間もしくは春季休業期間初期に、果たせぬままの懸案となっている北アイルランドにおける現地調査を行い、ウォルシュに関する伝記的資料の発見につなげたい。なお、現地調査で予定通りの成果が得られない場合のことを想定して、アイルランド共和国の国立図書館における既存の伝記的資料を再確認することで対応したい。 また、当初計画ではジョイス作品とウォルシュ作品を1つずつ比較する論考をまとめる予定であったが、それが遅れている現状を鑑み、ウォルシュ作品を複数扱う論考を先にまとめ、後にジョイスとの比較を行うことで研究成果を確保することも検討する。
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