研究課題/領域番号 |
19K00414
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山口 善成 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60364139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 名声 / パーソナリティ / 友情 / 個人主義 / 共感 / アメリカン・ルネサンス / ノスタルジア / アメリカ文学 / パブリシティ / 創造性 |
研究開始時の研究の概要 |
独立期から19世紀半ばのアメリカ文学における創作と名声の関係性について論ずる。まず、「作家像」の流通に自覚的だったWashington Irvingや著作権をめぐる議論を繰り広げたthe Connecticut Witsの詩人たちを取り上げ、最初期のアメリカ人作家が自己形成するプロセスに、新しい「名声」概念のはたらきを見出す。さらに、Ralph Waldo Emersonの“representation”の思想を、民主政体下の「名声」概念に基づくリーダーシップ論として捉え、彼自身の作家/講演者としてのカリスマ性を題材に、社会の承認と個の自律性との弁証法の事例を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究プロジェクトは、西洋社会における「名声」や「パーソナリティ」の文化をコンテクストに、初期アメリカ人作家の創作活動のあり方を分析することから始まり、20世紀における人間関係の組織化についての考察を経由して、個人主義社会アメリカにおける友情論に関する議論へと発展した。他者の承認による自己形成およびそれに基づく人間関係の不安は、通常、20世紀半ば以降のアメリカ中産階級たちの問題として捉えられるが、本研究ではHerman Melville等、19世紀半ばのテクストにその萌芽が顕れていたことを論じ、19世紀半ばのアメリカ個人主義と20世紀半ばの社会関係資本のネットワークとの間の連続性を指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
20世紀初頭の都市化や産業化が個人の生き方や人々の交際のあり方に変化をもたらして以降、社会的な絆や人づきあいにまつわる問題がさかんに議論されるようになった。さらに21世紀の現在、新型コロナウィルスの感染拡大を経験した我々は人間同士の距離/結びつきについてあらためて考え直すようになった。本研究で明らかになったのは、通常、20世紀以降の問題とされる複雑化した人間関係の不安が、実は19世紀半ばのテクストにその萌芽を顕していたということである。本研究を通じて浮かび上がった「共感」や「友情」といったキーワードは、19世紀から20世紀に渡る共同体構築に関わる言説を再考するための有効な視座を提供するだろう。
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