研究課題/領域番号 |
19K00420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
永尾 悟 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80389519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アフリカ系アメリカ文学 / 白人性(ホワイトネス) / 黒人性(ブラックネス) / エスニシティ / ホワイト・エスニック / ホワイトライフ小説 / ブラック・ライヴズ・マター / Frank Yerby / James Baldwin / 人種表象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人作家による白人主人公の小説、いわゆる「ホワイトライフ小説」について、その最盛期とされる1940年代後半から50年代の作品を主な対象として、同時代の人種言説との呼応性と文学的伝統との交差性を探るものである。この時代のホワイトライフ小説は、各作家に特有の自己意識や執筆背景を反映しつつも、公民権法制定へと向かう時代性、および、アフリカ系アメリカ文学の伝統と「真正性」をめぐる問題意識を共有している。そこで本研究は、手書き原稿、創作ノートなどの未出版物、および当時の批評書や雑誌媒体を精査しながら、ホワイトライフ小説の隆盛をひとつの時代現象として文化・歴史的視座から考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人作家による白人主人公の小説、いわゆる「ホワイトライフ小説」について、20世紀転換期の先駆的作品の流れを踏まえながら、隆盛期とされる第二次世界大戦後の作品を読み解き、同時代の人種言説との呼応性と文学的伝統との交差性を探るものである。その際、当時の雑誌や文学研究書などを紐解き、この時代におけるアフリカ系アメリカ文学をめぐる批評的意識とホワイトライフ小説への評価を検証する。 2022年度は、James Baldwinの初期作品の捉え直しを行うため、第1作目の小説Go Tell It on the Mountain(1953)における都市と黒人アイデンティティの問題を考察するとともに、第2作目の小説Giovanni's Room(1956)におけるイタリア人表象についての研究を進めた。 Go Tell It on the Mountainに関する研究は、「「時間の外にある都市」ー『山にのぼりて告げよ』におけるハーレムと教会」という論文にまとめ、『都市と連帯-文学的ニューヨークの探究』(開文社)において発表した。Giovanni's Roomに関する研究は、「ホワイト・エスニックの「黒さ」ー『ジョヴァンニの部屋』におけるイタリア人存在 」という論文にまとめ、 『人文科学論叢』(熊本大学大学院人文社会科学研究部)第4号で発表した。 また、2023年度の研究準備として、イエール大学バイネッキ稀少図書館(コネチカット州ニューヘイブン市)、およびニューヨーク公立図書館ションバーグ黒人文化センター(ニューヨーク州ニューヨーク市)において、James Baldwinをはじめとするアフリカ系アメリカ人作家の原稿や未出版資料を閲覧、収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスによる渡航制限によって、アメリカでの資料調査の大幅な延期を余儀なくされ、論文執筆の計画を見直す必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の主な計画は、James BaldwinのAnother Country(1962)についての論文執筆を行うことである。論文の内容は、黒人登場人物のRufus Scottをめぐって関わり合う白人登場人物たちの人種的自己意識に焦点を当て、そこから1960年代前半までのBaldwin文学における白人性表象の特徴を明らかにする。さらに、構想メモやタイプ原稿に可能な限り目を通して作品執筆の経緯を明らかにし、Baldwinの人種認識がどのように変容したのかを探る。 Another Countryの論文執筆後、本研究の成果を総括する論文の執筆に取り掛かる。
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