研究課題/領域番号 |
19K00436
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
森岡 裕一 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (20135635)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 禁酒物語 / ルシアス・サージェント / 家庭小説 / 感傷主義 / 離婚論争 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀アメリカの三大解放運動のうち、奴隷解放、女性解放については比較的研究が進んでいるが、酒害からの解放をめざす禁酒運動に関し、その中核をになった禁酒物語の研究については手薄である。本事業は、19世紀アメリカ禁酒運動の重要なメディアである禁酒物語の生まれた背景や、そのレトリック、イデオロギー、語りの構造を解明する。隣接ジャンルである家庭小説との類似点と差異についても明らかにし、とくにジェンダーをめぐる禁酒物語のイデオロギーを浮き彫りにしたい。その延長で、当時議論され始めた離婚論争の禁酒物語における扱われかたに注目し、女性解放運動と禁酒をめぐる言説全般の関わりを考察する。
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研究実績の概要 |
2023年4月末に大出血を伴う緊急事態が発生し、二度の手術を経て4か月半にわたる入院生活を強いられ、その後のリハビリをふくめ、研究に大幅な支障が出てしまった。8月に予定していたアメリカ出張もキャンセルを余儀なくされ、計画の大幅な見直しを迫られた。 3月には何とかシカゴ、ミルウオ―キ―への出張をはたし、ドイツ系移民の当該地区での酒醸造活動の歴史を調べたり、禁酒物語テクストの調査を行えたのは大きい。シカゴ大学、ウイスコンシン大学、ニューベリー図書館での調査により、NARRATIVE OF CHARLES T. WOODMAN(1843)やWALTER WOOLFE, OR THE DOOM OF THE DRINKER(1847)などの資料を収集できたことは大きな成果である。 年度の後半に体力が戻りつつある状況下、これまで集めた資料の分析も続けている。とくに、著名な職業的禁酒物語作家の一人、Lucius M. Sargentの作品の調査を集中的に実施している。代表作TEMPERANCE TALES(1847)の分析をはじめ、各種の伝記、THE BOSTON TRANSCRIPT紙を中心に展開されたEmersonやGarrisonら奴隷解放運動家攻撃などの言説にみられる思想を抽出し、サージェントの禁酒物語に通底するイデオロギー解明をめざした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4月末に大量出血で緊急入院し、二度の手術を経て4か月半にわたる入院生活を送り、その後もリハビリを余儀なくされたことによる研究計画の変更を余儀なくされたことが大きい。8月に予定していたアメリカ出張をキャンセルせざるを得なかったことも大きな理由である。後半で体力が戻りつつある中、それまで集めた資料の分析を積極的に行い、計画の遅れを最少限の留める努力をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き資料収集を続けるとともに、資料の分析を継続する計画である。とくにLucius M. Sragentoに焦点をあて、彼の禁酒思想の解明をめざす。これまでT.S ArthurやHarriet Stoweの禁酒物語の分析を進め、また、女性禁禁酒物語作家の作品を通じてジェンダーの視点から禁酒物語卯のイデオロギーの解明を進めてきた。今後は保守的男性作家サージェントの作品分析を通して、その思想をさぐり、さらに禁酒物語の違った側面に迫りたい。彼は職業的禁酒物語作家として有名だが、同時に、Emersonや Garrison などリベラルな奴隷制廃止論者を攻撃したことでも知られる特異な人物でもある。彼の代表TEMPERANCE TALES(1847)と、各種伝記、THE BOSTON TRANSCRPTを中心に展開された論争を比較考察することで、サージェントの禁酒イデオロギーにアプローチしたい。
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