研究課題/領域番号 |
19K00438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
澤田 真一 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (30250624)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニュージーランド文学 / マオリ文学 / キリスト教 / マオリタンガ / マオリ宗教 / ニュージーランド / 多文化主義 |
研究開始時の研究の概要 |
ニュージーランドにおいては、文学が哲学的な思考を担ってきたことが、これまでしばしば指摘されてきた。ニュージーランドの国民文学の揺籃期から20世紀半ばまでの文学者によるピューリタニズム批判、1970年代のマオリ文学の誕生とマオリ文化の再評価、そして1980年代以降のふたつの文化の架橋的な作家たちの文学的な実践から、ニュージーランドの政治的・社会的変動を捉えていく。
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研究成果の概要 |
ニュージーランドの先住民族マオリにキリスト教の伝導が開始されたのが1814年であり、宣教師トーマス・ケンドールがマオリ宗教に魅了され解任された時に、ニュージーランド「生得権」(マオリと白人が互いの文化の霊的な源泉を受け入れ合うことにより、新たなものが創造されえた可能性)は失われたと歴史家シンクレア―は語る。 本研究は、キリスト教とマオリ宗教を有機的に結合させることでこの「生得権」を回復し、ニュージーランド社会の物欲的な物質中心主義と、冷酷な個人主義を克服し、慈愛に満ちたマオリと白人の共同体社会を創り出そうとした詩人ジェイムズ・バクスターの思想と実践を解き明かす。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ニュージーランドは差異に起因する様々な問題を他の英語圏国家、キリスト教国家とは異なり、対話を通じて克服することで、多文化・多民族が共生できる有機的な社会を構築してきた。本研究は、そのような国民の成熟した平和意識の根底には、先住民族マオリの多神教的自然宗教とキリスト教の世界的に極めて稀有といえる弁証法的な融合が存在することを文学の視点から解明した。特にマオリと白人が遭遇したときに失われた「生得権」とは何かを明らかにし、その失われた「生得権」が回復されていくプロセスを文学作品の解釈を通じてたどった。この研究は日本が多文化を受容していく過程で参照すべき示唆を含むと考える。
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