研究課題/領域番号 |
19K00443
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
井上 間従文 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (50511630)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | テレサ・ハッキョン・チャ / トランスナショナリズム / アメリカ文学 / ポストコロニアリズム / 映画装置 / メディウム・スペシフィシティ / 記憶 / 難民 / 逃走 / 映像研究 / アメリカ詩 / 映画理論 / フェミニスト映画理論 / 現代詩 / 映像の詩学 / トランスナショナル・アメリカ研究 / フェミニズム映画理論 / ポストコロニアル研究 / サミュエル・ベケット / フェミニスト・フィルム・スタディーズ / 北カリフォルニア / 映画研究 / ジェンダー研究 / 1960年代 / インターメディアル研究 / トランスナショナル・アメリカ文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は韓国系アメリカ人文学作家・映像アーティストのTheresa Hak Kyung Chaの作品と思想について、これまで文学テクストを検討することで進展してきたCha研究の対象を文学に加えて映像、映画理論、アート、パフォーマンス等作品とテクストへと接続することでインターメディアルな総体として把握するものである。この研究を通して、Chaにおける文学、映像、アートを横断する記憶の移動と変容が、いかにして帝国とポスト植民地の「国民の歴史」という表象装置を越え出る特異な証言者たちの共同性をもたらすインターメディアルな美的装置を形成したかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は韓国系アメリカ作家テレサ・ハッキョン・チャの文学作品と映像作品において移住や戦争などの記憶が、消えることを通して現れるという奇妙な表出方法を伴っていることを明らかにした。本研究は、チャの文学作品においてこうした記憶はリズムや沈黙といった文体フォームにおいて消えながら現れ、映像作品においてはディゾルブやノイズといった音声・光学的特質において露わになっていることを指摘した。また、こうして美的媒体の特質の限界において、その限界を震わせながら消えゆく過去の記憶が、同時に国民史(ナショナル・ヒストリー)の限界からも逃れ、より広範な「記憶する共同性」のあり方を開示していることをも明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
まずはBlackwell-Wiley社刊行の入門的研究図書A Companion to American Poetry(2022年)にチャ作品の美的特徴と政治・倫理的含意の双方を架橋する論考を掲載したことで、特にアメリカ詩分野におけるチャ作品の特異性について幅広い議論をすることが可能となった。総じて戦争や植民地主義の記憶表象に関する議論を、チャの美的媒体の特質(スペシフィシティ)における美的な逸脱と、それを介した「想像の共同体」としてのネーション(国民・民族)のイメージからの離脱の議論へと接続し、その理論的射程を主に英語圏で問うことができたことの意義は大きいものと考える。
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