本研究はいわゆる「負け組」の人々と社会の関係を19世紀から20世紀の米文学の中で考察する試みです。社会には常に「規範」というものが存在しますが、人々を「矯正」しようとするその力と、その規範に反したーあるいは適応出来なかったー人々の関係を、庶民の視点から社会を「写実的」に描いた作品の中に考察していきます。「弱き人々」を考察するために「ジェンダー学」と「障がい学」の視点を用いますが、そこから見える彼らの「多様性」は実は「強者」や「成功者」などのそれを種類と色彩において凌駕する強かさで米国を彩ってきました。本研究はその「弱き人々」が小さな声で語ってきた壮大な物語を明らかにすることを目指します。
|