研究課題/領域番号 |
19K00456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 教授 (10407611)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エンブレム / 視覚文化 / 物質文化 / シェイクスピア / ジェームズ一世 / ヘンリー・ピーチャム / 王権表象 / 宮廷仮面劇 / 宗教文化 / 初期近代英国の宗教文化 / エンブレムブック / 出版文化 / 視覚芸術との関連 / 初期近代英国の視覚文化 / エリザベス一世 / マグダラのマリア表象 / 神話集 |
研究開始時の研究の概要 |
従来あまり議論されてこなかったエンブレム文学の起源のひとつといわれているエリザベス朝からジェームズ朝時代の神話集を調査し、それらに描かれた神話の神々がどのようにエンブレムに取り入れられて表象されているかを追及する。そうした神話的なエンブレムは、エリザベス一世やジェームズ一世の王権表象に利用され、それらはシェイクスピアをはじめとする当時の文学作品にも影響を与えている。本研究では、とくにシェイクスピアのロマンス劇や、サー・ロバート・サウスウェルなどの宗教詩に注目し、神話的エンブレムと王権表象の関連を追及するものである。
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研究成果の概要 |
ジェームズ朝イングランドにおける王権表象に、神話的な英雄や超自然的生物が利用されていることを、同時代のエンブレム表象を援用して解明することを目指した。そこで、もっともジェームズ一世、ヘンリー皇太子に近しいヘンリー・ピーチャムが作成したエンブレム手稿とMinerva Britanna(1612)を中心に資料収集と実地調査を行った。その成果の一部は2021年『初期近代英国のエンブレムブック』(金星堂)にまとめた。ピーチャムのエンブレムが忠実に再現されたブリックリング・ホールのロングギャラリーを実地に調査し、王の地位を不死鳥やマーキュリーといった神話的象徴を用いて支えていたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究対象としたエンブレムブックは、ルネサンス期のヨーロッパの文芸作品に、多大な影響を与えたバイメディアルなジャンルである。エンブレムを構成する図像を、添えられたモットーと、図像と直接関係のない謎解きのような詩文から解釈するという視覚を通じて象徴的に意味を読み取るという方法は、広く普及していた。こうした思考を理解することは、王権をどのように表現したかを解明する基盤となるであろう。その点を『初期近代英国のエンブレムブック』において世に問うた。今後、このジャンルがさらに周知され、近代初期の文芸のみならず他の領域の研究に活用されることを期待する。
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