研究課題/領域番号 |
19K00459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
澤入 要仁 立教大学, 文学部, 教授 (20261539)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アメリカ詩 / アメリカン・ルネサンス / モダニズム / 米西戦争 / アメリカ文学史 / Moody, William Vaughn / Crosby, Ernest / フレデリック・ゴッダード・タッカーマン / ブレット・ハート / ロマン主義 / リアリズム / スティーヴン・クレイン / ジャック・ロンドン / アメリカ・ロマン主義 / メルヴィル, ハーマン / 韻律学 / 南北戦争 / アメリカ労働運動文学 / アメリカ自然主義文学 / モダニズム文学 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカ詩は、19世紀中期の黄金時代を終えると「沈滞」期に陥ったように見える。リアリズムや自然主義の作家たちが小説を隆盛に導く一方、同時期の詩は、1910年代にモダニスト詩人が登場するまで生気を欠いていた、といわれる。しかしそれは事実か。より広い視野から再検討すれば、南北戦争後から20世紀初頭にかけての米国には、詩が力強く息づいていたのではないか。 そこで本研究は、たとえば労働者が声を荒げた詩や、米西戦争に対して市民が唱えた詩、自然主義小説家たちの実験的な詩作等に着目する。そうすることによって、この時代のアメリカ詩が、大衆文化でもあり芸術でもあり、社会のひとつの核であり続けていたことを示す。
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研究成果の概要 |
本研究では、アメリカ詩の「沈滞」期といわれる19世紀後期から20世紀初頭におけるアメリカ詩の水面下を探った。ロマン主義とモダニズムの間隙に光を当てるためである。本研究の結果、MelvilleもTuckermanも伝統に従った素振りを示しながら、ひそかに攪乱しようとしていた。Craneも色彩ゆたかなイメージが鮮烈な自由詩を書き、イマジズムの先駆となっていた。他方、MoodyやCrosbyのような米西戦争期の反帝国主義詩人たちには革新を見いだしがたかったが、詩人が社会的使命感を抱き、社会が詩人に預言者的価値を見いだしていた。「沈滞」期にも詩と詩人は、前時代と変わらない役割を果たしていたのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
20世紀モダニズム詩の推進者Poundが「一新せよ」という言葉に象徴される詩革新運動を率い、大きなうねりを導いたことはよく知られる。しかし、Pound直前の詩人たちも、それぞれ「一新せよ」を実践していた。それはPoundのごとく追随者を巻き込んだ運動ではなかった。孤軍奮闘にすぎなかった。そのため文学史でも異端者扱いだった。けれども、アメリカ詩の「沈滞」期といわれる19世紀後期から20世紀初頭は、「詩人たちの黄昏(衰退期)」でもなく、「詩のスランプ」時代でもなく、孤立無援の試行錯誤の時代だったといえる。同時にそれは、Poundのような行動力や統率力を待たなければならなかった時代だったともいえる。
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