研究課題/領域番号 |
19K00461
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坂内 太 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60453990)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | アイルランド演劇 / 告白の表象 / アイルランド現代演劇 / 変身と変容 / アイルランド現代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アイルランド現代演劇/現代文学に見られる「告白」の表象を分析対象とし、前世紀半ば以降、とりわけ近年の教会権威の激しい衰退が指摘される中で、宗教行為としての「告白」をアイルランド現代演劇/文学が20世紀を通じてどのように吸収してきたのか、また、これらの創作芸術がどのように「教会の世俗的相当物」としての要素を獲得してきたのかを明らかにすることを目的とする。
|
研究成果の概要 |
本研究は、19世紀後半から21世紀初頭のアイルランド演劇を対象にした告白表象の分析を目的とした。本研究では、体験の率直な吐露として、或いは第三者視点の物語や歴史叙述に仮託した物語として、また、他者の経験の伝聞として、自身の過去の言動を巡る罪悪感や自分が所属する共同体や国家の抑圧された過去の出来事を巡る苦悩を語り、聞き手との相互扶助を通じてトラウマから解放されて精神的な刷新を経験する告白の表象が、当該期間の戯曲に持続的に現れていることを明らかにした。また、こうした精神的な刷新過程の表象が、慣習的に教会や宗教的儀式が担ってきた告白体験の、世俗的な等価物とも言うべき性質を持つことを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抑圧的な植民地からの独立以前に演劇運動の興隆を経たアイルランドの歴史的特殊性を理解するためには、国家・社会基盤に対する文化活動の影響を巡る多様な分析と知見の蓄積が不可欠であり、本研究が行った、過去のトラウマの告白とその共有が個人や共同体の変革の契機を生むという演劇的主題の共時的・通時的分析の意義もその点にある。本研究では、アイルランド演劇/文学における「告白」の表象とその受容の分析を通じて、言語の美的構築物が個人や共同体に救済をもたらすというテーマが持つ持続的訴求力を明らかにすると共に、戯曲の持つフィクションの力が現実に影響を及ぼすという思想が連綿と受け継がれている文脈の一端を明らかにした。
|