研究課題/領域番号 |
19K00463
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川島 健 同志社大学, 文学部, 教授 (60409729)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | イギリス / 演劇 / 1970年代 / State-of-the-Nation Play / コンセンサス政治 / ジェンダー / アイデンティティ・ポリティックス / イギリス演劇 / 国家 / 国民 / 英国演劇 / 戦後 / 歴史 / ニューレフト / 社会主義リアリズム / 国民国家 / 文化政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1970年代英国演劇の“state-of-the-nation plays” (以下SNPと略)とその創作のためのプラットホームとなったJoint Stock Theatre Companyの方法に焦点を当る。歴史的な洞察を繰り広げる、壮大な国家劇がこの時代に多く制作された。SNPと名づけられたそれらの劇作は、植民地主義と大戦体験を振り返る視座を有している。それはArts Councilによって助成され、ワークショップ形式による戯曲創作によって特徴づけられるが、近年はその文脈を無視してSNPという言葉が濫用される傾向が目立つ。本研究はその傾向を是正し、この定義の明確化と範疇の限定を試みる。
|
研究成果の概要 |
本研究は1970年代のイギリスで制作されたState-of-the-Nation Play(以下SNPと略)と通称される劇作を対象としている。この概念が用いられた文脈を再構築し、これらの劇作が訴えた問題を検討した。これら劇作と、1950年代以降の「怒れる若者たち」の作品との差異を明らかにして、SNPは社会主義への幻滅が背景にあることが分かった。同時期に興隆するフェミニズム演劇や同性愛者たちのマイノリティ演劇は、自分たちの権利の拡大に注力していく。それにたいしてSNPは、様々な権利と利権を調整するためのプラットフォームの構築を目指し、歴史的な視座を求める特徴を有していることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SNPは、社会主義の言説の行き詰まりを背景にしている。それは、経済的な繁栄がもはや望めない時代に、新たな連帯の構築と公共圏の創出を目指したものであった。SNPは歴史の再構築に向かう。脱工業化社会のビジョンを歴史的遡行の果てにみいだそうという企図がそこには隠れている。SNPの研究は、日本はおろかイギリスでもまだ少ない。2020年代は、コミュニティが細分化され、批評がクラスター化してしまった。異なる意見を共存させ議論させるようなプラットフォームの構築が望まれる現状に、SNPをめぐる洞察はヒントを与えてくれる。
|