研究課題/領域番号 |
19K00475
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
梁川 英俊 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (20210289)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ケルト学 / エルネスト・ルナン / 口承文学 / 民謡 / ブルターニュ / ケルト人種 / 古代ケルト人 / ケルト諸語圏 / グウェンフラン / ヤン=ファンシュ・ケメネール / ケンムン / 妖精 / 日本ケルト学会 / フランス考古学 / ブリテン考古学 / ケルト懐疑主義 / ケルト人 / ポール・ブロカ / ダルボア・ド・ジュバンヴィル / シャルル・ド・ゴール / 「19世紀のケルト人」 / 「ケルト諸人種の詩歌」 / ルナン / ケルト諸人種 / マシュー・アーノルド / ブルトン人 / W・B・イェイツ / ケルト文学 / フランス / 人種 |
研究開始時の研究の概要 |
現在のケルト学で中心的な役割を果たしているのは英米圏の研究者であり、フランスではケルト学はしばしば「傍流」の学問として扱われる。しかし19世紀のフランスにおいては事情は違った。「ケルト」は歴史学、文学、考古学、人類学を始めとする諸学問の主要なテーマであり、国民的な関心事でもあったのである。本研究では主に文献学者エルネスト・ルナン、ケルト学者ダルボア・ド・ジュバンヴィル、形質人類学者ポール・ブロカに焦点を当てながら、19世紀のケルト学の発展においてフランスの学者がもたらした貢献を明らかにすることにある。
|
研究実績の概要 |
今年度の実績として第一に挙げるべきは、2004年3月に筆者が責任編集者を担当した『ケルト学の現在』(三元社)を上梓したことである。この書物で筆者は、全体のまとめに当たる「総論 ケルト学の理解のために」を執筆し、また個人の研究成果としても「グウェンフランのいたブルターニュ」「エルネスト・ルナンの「ケルト諸人種の詩歌」について」という2編の論文を寄稿した。 「総論 ケルト学の理解のために」においては、これまでのケルト研究では曖昧なままであった近現代ケルト人と古代ケルト人の関係性について、言語学、考古学、歴史学を軸に明確に定義し、加えてケルト人の存在を全否定しようとするブリテンの「ケルト懐疑論」に関して、この主張が出現した経緯と歴史的背景を説明した。ケルトという分かりにくい概念に対して、現時点で可能な限り明快な説明を与えることができたと自負している。 「グウェンフランのいたブルターニュ」においては、文字資料がきわめて少ないケルト語の口承文学について、19世紀にブルターニュの伝説のバルドとして知られたグウェンフランに関する伝承を中心に、その基本的な問題点をまとめ、このバルドをめぐる伝承がこれまでどのように受容され、ブルターニュを巡る議論の中でいかなる影響を与えてきたかを論じた。 「エルネスト・ルナンの「ケルト諸人種の詩歌」について」では、ブルターニュ生まれの19世紀の思想家エルネスト・ルナンがケルトを論じた唯一のテキストである「ケルト諸人種の詩歌」を取り上げ、その内容と成立過程を詳細に検討したうえで、この論考が19世紀においてケルト人のイメージを決定づける程重要な役割を果たしたことを、イングランドの詩人マシュー・アーノルドやアイルランドの詩人W・B・イェイツの論考との関連性を指摘しつつ証明するとともに、このテキストが日本人のケルト観にも大きな影響を与えてきたことを立証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍などで、海外渡航が制限される中、当初の予定の一部を変更せざるを得ない部分もあったが、そのせいで研究の進捗に影響があったということもなく、逆に論文執筆に集中できたという側面もあり、全体として予定通り順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の予定に関しては、とりあえず中断しているシャルル・ド・ゴールの「19世紀のケルト人」の翻訳の完成を目指したい。加えて、この論考が19世紀のケルト学においてどのような位置を占めていたのかを解明する論文を執筆したいと考えている。また、2度の延長を含んで、予定よりも長くなった本研究全体の研究成果のうち、これまで十分な成果発表が行えなかったアイルランドに関する研究をまとめることを考えたい。
|