研究課題/領域番号 |
19K00477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
大場 静枝 広島市立大学, 国際学部, 教授 (60547024)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ブルターニュ民族運動 / 民族ナショナリズム / ジャン=ピエール・カロク / カミーユ・ル・メルシエ・デルム / ロパルス・エモン / 『バルザス=ブレイス』 / ブルターニュ国民党 / 分離独立 / 『グワラルン』誌 / 『ブレイス・アタオ』誌 / 第一期PNB / ブルターニュ地方の民族ナショナリズム / ブレイモール / ブルターニュ文学 / ブルトン語 / 『バルザス=ブレイス』 / 民謡 / ロマン主義 / 国民概念 / ブルターニュ地方 / 地方文学 / ナショナリズム / 文芸運動 / 『グワラルン』 |
研究開始時の研究の概要 |
地域に固有の言語があり、その言語で表現された文芸作品が存在するにもかかわらず、ブルターニュ文学はフランス文学史の中で正当に評価・認知されているとは言い難い。その主たる要因として、言語とナショナリズムの問題が分離独立運動という政治的な様相を呈したこと、第2次世界大戦下のナチスとの関係が指摘されていること等が挙げられる。本研究は、19世紀後半から20世紀前半までの間で、ナショナリズムと結びついたブルターニュ出身の作家、特にブルトン語で作品発表を行った作家たちの調査を通して、同地方のナショナリズムと文芸運動の関係を明らかにし、この時代のブルターニュ文学の特徴や輪郭を描き出すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、19世紀後半から両大戦間期までの期間に民族運動を行ったブルターニュ出身の文学者を調査・研究することで、ブルターニュ地方の民族ナショナリズムと文芸運動の関係を明らかにし、この時代のブルターニュ文学の輪郭や特徴を描き出すことを目指した。 2019年度から2023年度まで、新型コロナ感染症の拡大により現地での文献調査が制限されたため研究期間を延長し、かつ研究対象期間を「19世紀後半から両大戦間期までの期間」に変更して、以下の研究を遂行した。(1)19世紀末にブルターニュ地方に民族ナショナリズムが誕生した時代背景と民謡集『バルザス=ブレイス』第2版及び第3版で表現された「抵抗の物語詩」が民族運動に与えた影響に関する考察、(2)『バルザス=ブレイス』に影響を受けた3人の民族主義文学者ブレイモール、カミーユ・ル・メルシエ・デルム、ロパルス・エモンの作品分析や民族運動と作品との影響関係の考察。その結果、作品に祖国の英雄たちの事績や自己犠牲の精神、民衆の忍従と不屈の姿を投影させることがブルターニュ文学の特徴の一つであることを明らかにした。 研究成果の一部は「『バルザス=ブレイス』に見るブルターニュ地方の民族文学の誕生―19世紀における国民概念の成立とロマン主義を背景に」「信仰と郷土愛に生きた詩人ブレイモール―フランス・ブルターニュ地方の民族運動を背景に」「カミーユ・ル・メルシエ・デルムの詩に見る民族主義―分離独立主義の台頭と第一期PNBの誕生を背景に」「ブルトン語文学の創造を希求した作家ロパルス・エモン」にまとめた。 さらに、「ブルターニュの民族主義と文学」「ブルターニュの抵抗の歴史」「ブルトン語の保護運動」に関する執筆を行い、2023年に単著『抵抗のブルターニュ―言葉と文化を守った人々の闘い』(小鳥遊書房)を刊行し、本研究成果の一般への公表とした。
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