研究課題/領域番号 |
19K00481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井戸田 総一郎 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 名誉教授 (40095576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アーヘン・ゲーテ協会 / あそび / 仮面 / ニーチェ / ゲーテ / 社会人講座 / 演劇人鴎外 / 三田文学 / 自由劇場 / 小山内薫 / 吉井勇 / 永井荷風 / 雑誌スバル / 森峰子 / 国際演劇年鑑 / 鴎外と舞台芸術 / 現代語 / 短剣を持ちたる女 / 山彦 / シュニツラー / ヒッペル / 鴎外研究の国際化 / 東漸新誌 / 日本最初のドイツ語雑誌 / 演劇問題について / おもかげ / 痴人と死 / ファウスト / ホーフマンスタール / 森鴎外 / 文献学的詩学 / ニーチェ受容 / 古典ギリシャ劇 / 曽我兄弟 / 沈黙の塔 / 鴎外 / 演劇 / 翻訳 / 文献学 / 詩学 |
研究開始時の研究の概要 |
演劇の近代化をめぐる鴎外の活動(翻訳・改作・創作)を総合的に研究するには、ドイツ留学時における演劇研究や観劇体験ばかりでなく、世紀転換期ヨーロッパにおいて展開した上演芸術としての演劇の総合性回復の運動、心理描写を重視する一幕物の流行、詩学と文献学を融合化する動向、さらに日本における新劇運動の台頭、標準語制定の動きなど、それらが複合的に鴎外の演劇活動に作用している局面を再構成しなければならない。演劇の分野における鴎外の活動はもともと国際的な広がりを持つものであり、本研究は鴎外研究をそのような本来の場面へともたらし、成果をドイツ語等で発信、海外の関心を呼び起こすことを目指す。
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研究実績の概要 |
1)アーヘン・ゲーテ協会から「ゲーテとニーチェにおける日本の痕跡」(Japan-Spuren bei Goethe und Nietzsche)という表題の講演依頼を受け、同講演の後半部分において、ゲーテ・ニーチェ両者の日本受容に大きな足跡を残している鴎外について詳しく説明した。この講演には、アーヘン市在住の著名なドイツ文学者、Prof. Dr. Helmut Schanze、Prof. Dr. Manfred Kammer、 Prof. Dr. Sivia Schmitz らが出席し、司会はSchanzeが担当した。 講演全体は質疑を含めて2時間以上に及んだ。鴎外とゲーテに関しては、ヴァイマル宮廷劇場の総監督であったゲーテの実践的は舞台活動が鴎外の初期の演劇論に大きな影響を及ぼしている点など、これまで知られていない側面を紹介した。鴎外とニーチェに関しては、鴎外の小説『あそび』と『仮面』を取り上げ、高い水準のニーチェ受容を明らかにした。ニーチェの受容に果たした鴎外の業績についてはまったく海外発信されていない状況なので、大きな反響を得ることができた。鴎外が日本の文芸の歴史のなかで傑出した国際人であることを再認識し、鴎外について国際発信することの重要性を改めて確認することができた。 2)早稲田大学エクステンションにおいて講座「哲学者・詩人ニーチェと日本の知識人たち―森鴎外、斎藤茂吉」を担当し(2024年1月~2月)、本研究課題の成果の一部を聴講者である社会人に紹介した。1886年に鴎外とニーチェが同時にミュンヘンに滞在し、しかも近い距離にいた可能性など、これまで知られていない事柄を説明し、大きな反響を得た。 3)早稲田大学エクステンション講座から発展して公益財団法人文京アカデミーにおいて2024年5月から6月にかけて「鴎外の中のニーチェ」という講座を担当することが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ・パンデミックの影響によって、2020年度から2022年度までの3年間、この期間に計画していたドイツにおける研究を遂行できなかったが、2023年10月20日にアーヘン・ゲーテ協会の招待講演を機会に当初予定していた研究計画の重要な部分について研究交流を再開することができた。この講演の準備のために、Web上での研究交流を活発に展開できたことは大きな成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年9月と10月の2か月間、フライブルク大学に研究滞在し、同大学のシュニツラー研究所、ニーチェ研究センターにおいて集中的に資料調査などを遂行する。シュニツラーとニーチェの文体上の実験は、鴎外の文体形成に大きな影響を及ぼしているので、同大学のドイツ文学者及びニーチェ研究センター所長のProf. Dr. Sommer と密接な連絡を取りながら研究を行う。2025年はニーチェ没後125周年の重要な時期であり、日本におけるニーチェ受容の紹介に注目が集まることになる。鴎外の翻訳や創作は、この受容史のなかで最も重要なものであり、本研究の成果を海外発信する最適の場となる。その準備のために、2024年度の研究をフライブルク大学に滞在して集中的に行う。
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