研究課題/領域番号 |
19K00484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坂庭 淳史 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80329044)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロシア哲学 / 全一性 / チュッチェフ / ガガーリン / チャアダーエフ / ソロヴィヨフ / ロシア文学 / キリスト教 / プーシキン / ソフィア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は1830年代から1890年代までのロシアにおける思想(おもにチャアダーエフからソロヴィヨフまでの展開)を主な研究対象期間とし、その間の「全一性」概念の組成や形成の過程に直接的、間接的に影響を与えたロシア国内外の論考や著作、書簡について、哲学、宗教、歴史、政治、教育などの観点から総合的に分析する。そのうえで「全一 性」概念がロシア文学史、思想史、文化史において果たした役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、19世紀ロシアの思想・文学において形成された「全一性」概念を対象とし、哲学、宗教、歴史などの観点からその組成を総合的に分析することを目的とした。本研究の成果を概括するならば、「全一性」概念の形成過程において ①「文学」と「思想」の具体的な接点を抽出し、このテーマを切り口に、ロシア文学史、思想史、文化史に新たな読み解きの可能性を提示したこと ②カトリック思想の影響など、「全一性」概念の中にある西欧思想の要素を明らかにしつつも、その独自性を否定するのではなく、ロシアで育まれた世界観と西欧の世界観とのハイブリッドという高次の思想としてこの概念を再評価したこと の2点となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ロシアにおいて「全一性」概念は、その独自性、あるいは正教の思想との類縁性が強調され、それはときに過剰とさえ感じられることがある。本研究ではこの概念の形成過程において、カトリック、あるいはカトリックとゆかりのある人物たちが大きな意味を持つことを指摘した。これは「ロシアのカトリック」に関する研究の活性化を促し、昨今顕在化している「ロシアと欧米」の対立の根源を探るヒントにもなるだろう。また、本研究ではイヴァン・ガガーリンのロシア思想史・宗教史、文化史における重要性を確認することができた。この人物に関する研究を通して、日本におけるロシア思想・文化研究にもあらたな視点を提供しえたと考えている。
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