研究課題/領域番号 |
19K00486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
有馬 麻理亜 近畿大学, 経済学部, 准教授 (90594359)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 戦争と科学 / 医学ホーリズム / ピエール・マビーユ / アレクシス・カレル / シュルレアリスム / 全体論 / 人民戦線 / 人間の科学 / ホーリズム / 対抗文化 / アンドレ・ブルトン / ポエム-オブジェ / 第二次世界大戦 / 科学的精神 / 反文明 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「いかなる条件のもとで科学的知は魔術や民間伝承といった反文明的思考に結びつくのか」、「1930年代から戦後までという、特殊な時代において科学的精神はいかなる変容をとげていくのか」といった問題に取り組みつつ、シュルレアリスムとその周辺を例に「20世紀の知識人や科学者がいかに戦争とモラルという問題に直面したのか」という問いに答えようとするものである。本研究はまた、原子爆弾やアウシュヴィッツといった、非人間的な時代を経た世界に対して、これらの知識人がどのような文明観を抱くことになるのか、といった今日の私たちにも無縁ではない普遍的な問題にも通じている。
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研究成果の概要 |
本研究では大戦間期において神秘主義やオカルトなどに関心を持った科学者を取り上げ、彼らの科学的精神がいかにこれらの反文明的思考と両立していくのかという問題に取り組んだ。なかでもシュルレアリスム運動に参加した医師ピエール・マビーユの作品や研究を分析した結果、1930年代のフランスで流行した医学ホーリズムの重要性を再発見することができた。彼らホーリズム医学者たちの通俗科学的作品は当時の知識人に影響を与えていた。また、その多くのホーリズム医師が研究の特性もあってファシズムに引き寄せていったにもかかわらず、マビーユは反ファシズムを貫いたホーリスト医師の稀な例であることも示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は科学的精神と反文明的思考の関係を足がかりとして、「20世紀の知識人や科学者がいかに戦争とモラル」という問題に直面したのかという普遍的な問題に取り組むという学術的意義を持っている。そしてホーリズム医学者のなかには(生物)類型学や優生学など人種差別に結びつく学問が多く、実際多くの学者がファシズム政権下で活躍した者が多かった。このような知の歴史に再び着目し、歴史に学ことは今日を生きる私たちにおいても重要であり、そのような点において社会的意義があると考える。
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