研究課題/領域番号 |
19K00492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大宮 勘一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40233267)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ドイツ文学 / 古典主義 / メディア論 / 近代文学 / 古典 / ドイツ思想 / ロマン主義 / 文学史 / 概念史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、主に18世紀以降におけるドイツの文芸作品や文芸理論を手掛かりに、ドイツ的「古典」概念の歴史的成り立ちを、その独自性に焦点を当てて踏査し、それが近代ドイツ文芸の自立と展開において果たした役割を再検討した上で、19世紀以降におけるこの概念の変容をたどり、現代の文芸においてもなお有しうる意義を探る。その際、政治的、経済社会的などの背景と関連付けつつ、概念自体の価値と機能の変化、この概念の歴史理論上の位置づけ、および作品に現れる様式上の特徴にも着目する。また、「古典主義」の隣接概念(擬古典主義など)、対立概念(バロック、ロマン主義、モダニズムなど)との関係も、再検討されるべき課題である。
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研究成果の概要 |
本プロジェクトは、ドイツ文芸における「古典」概念の成立を、他国からの選択的影響、歴史化、自言語の「国語」的規範化という観点から捉え直す作業を逐次行った。その概括的成果は、言語の規範性に関する論文集『ノモスとしての言語』(ひつじ書房、2022年)の編纂・刊行と、そこに所収の論文「「国語」形成の一断面」である。発表論文は計7点である。また、古典主義期のドイツ文学のメディア史的再検討の試みであるフリードリヒ・キットラー『書き取りシステム1800・1900』の翻訳(共訳、2021年)と、古典主義の代表的作品たるゲーテの戯曲「タウリスのイフィゲーニエ」の翻訳(2022年)も刊行した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本プロジェクトは、ちょうどCoVidヴィルスの蔓延と重なり、遂行に障害を被ったが、他方、病の流行を機縁として、不易なるものすなわち「古典」を考え直す機運の社会的高まりが実感されるなかで、研究がより深まった面もある。こうした社会的要請を単なる一過性の流行現象としてではなく、社会的共同性の基礎的価値を体現するものとして、「古典」を考え直す研究となり得たと自負する。近代文学研究においては、対象となる作品テクストの多様性が目まぐるしいが、それっらを単に拡散するに任せるのではなく、求心的な役割を担い続ける規範として、古典的テクストの果たす役割には再び注目が寄せられており、これに応じた研究となった。
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