研究課題/領域番号 |
19K00501
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
シュレンドルフ レオポルト 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (20773188)
|
研究分担者 |
山本 浩司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80267442)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 紀行文学 / オートフィクション / ハントケ / ホッペ / クラハト / ザイラー / ポストコロニアリズム / ユーゴ紛争 / Handke* / Travel / Essay / Narratology / Crisis / War / Kracht / Brinkmann / Essayism / Spatial Turn / Globalization / Yugoslavia / Handke / Gender / Subjectivity / Topography / Heterotopia / エッセイ / ドイツ文学 / 世界文学 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化と消費文化の浸透によって旅の形式が変質していく現代において、「紀行エッセイ」がいかなる美的射程を持ちうるかを精査することを目的に月例研究集会を重ね、歴史的に見て英仏語圏のコロニアリズムの当事者性とは一線を画してきた現代ドイツ語圏作家たちによる非ヨーロッパ圏紀行文を分析していく。ムージルやベンヤミンなど古典的なエッセイ論とドイツ戦後文学の旅行記などを比較対象に引きながら、現代の紀行エッセイの新奇性を明確にしていく。その際、国際的な研究ネットワークの構築にも力を入れ、完成年度には東京で国際シンポジウムを開催した上で、日独両国で比較文化論集を出版し研究成果を社会に還元する。
|
研究成果の概要 |
本研究では20/21世紀のドイツ語圏旅行文学における4つの重要な側面を明らかにした。(1)ユーゴ内戦地帯を旅したハントケのように、独自の書法によって、メディアの定型に対して対立的な知を生み出せている。(2) ホッペの架空のUSA旅行記のように、ジャンル(旅行記、エッセイ、ルポルタージュなど)の境界を越えたり、事実報告と(オート)フィクションの伝統的な区別を疑う傾向がある。(3) マスメディアやニューメディアを発表の場として利用する一方で、強烈なメディア批判を展開している。(4)ロビンソナーデを更新したザイラーのように、ポストコロニアル的観点から西欧の旅行と探検の歴史に反省的に言及している。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ハントケのユーゴ紛争に対する親セルビア的姿勢について政治的観点からの議論はされてきたものの、テキストの文学研究的な分析はまだ足りていなかった。彼のユーゴ紀行が現地調査を積み重ねた上で、テーマに迂回的な接近をする文学的な試みであることを明らかにした本研究は研究史の穴を埋めるのに貢献した。 ヴァーチャルな交流が可能になったものの、人間的な交流と現地での調査が蔑ろにされたポストコロナ時代にあって、デジタル時代において情報の信頼性をどう担保するかは喫緊の社会的課題である。ソーシャルメディアや既存のマスメディアにおける意見の画一化を前に自由に出版できる作家がメディアの外側に立つことの重要性を明らかにした。
|