研究課題/領域番号 |
19K00502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
藤原 真実 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10244401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地下文書 / 啓蒙思想 / 匿名 / 共同執筆 / 計量文献学 / 間テクスト性 / 作品 / 思想論争 / 作者 / ロベール・シャール / 計量分析 / 18世紀フランス文学 / 哲学的地下文書 / 作者性 / 理神論 / 美女と野獣 / テクスト相互関係性 / 18世紀 / 匿名性 / 文献学 / フランス文学 / フランス17-18世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
17-18世紀フランスの哲学的地下文書の世界では、あえて手書きの写本で書物を流布し、それを第二、第三の筆者が次々と書き継いだ結果、作品が異なる複数の形で残されることがよくあった。印刷本の世界でも、フランスで刊行された本の約3割は無署名であり、第三者による増補や改変は稀ではなかった。本研究はそのような状況にあった17-18 世紀フランス文学の中に、共同作業としての作品の概念、すなわち集団としての作者が時間をかけて作り上げる共有物としての作品の概念が存在したという仮説を立て、計量文献学の方法と間テクスト性の理論を用いてそれを証明することを目指す。
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研究成果の概要 |
17-18 世紀フランスの文学の中に、共同作業としての作品の概念─集団としての作者が時間をかけて作り上げる共有物としての作品の概念が存在したという仮説を立て、これを証明するため、哲学的地下文書については計量文献学を援用して著作物の中に複数の書き手が存在することを明らかにし、また印刷された著作物については匿名の第二、第三の筆者が作品と対話し作品を変容させていく過程に光を当てた。その結果、著作物を単独の作者の専有物と見做す近代以降の一般的な考え方とは異なる作者観、作品観が17-18世紀に存在したこと、そのようにして共有される作品の内部で起こる対話が啓蒙主義の原動力の一つになったことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一人の作者を作品の独占的所有者と見做す著作権の概念は、いつの時代にも存在した真理のように想像されがちであるが、フランスでは革命期に成立し、19世紀以降に確立・普及した歴史の浅い概念でしかない。今日インターネットや人工知能などの情報技術が人間の活動を急激に変貌させている中で、その概念はすでに大きく揺らぎ、再検討を求められている。しかし社会制度は依然として旧来の概念を踏襲しており、制度と実態の乖離は顕著である。著作権が存在しなかった時代の自由な著述活動のありようを明らかにした本研究は、現代の著述活動のあり方を再考する上で、大いに参考となるはずである。
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