研究課題/領域番号 |
19K00509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福島 勲 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30422356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ヒロシマ / デュラス / レネ / 記憶 / 幽霊 / 痕跡 / 岡田英次 / 占領期 / 記憶の抑圧 / 対独協力 / 敗戦とトラウマ / ユダヤ人 / 記憶の統治 / 戦争の記憶 / 映画と記憶 / 映画 / ポドロ / 受容 |
研究開始時の研究の概要 |
映画『ヒロシマ・モナムール』(1959年公開、邦題『二十四時間の情事』)は、脚本を書いたデュラスの説明に引き寄せて、広島への原爆投下と町の復興をフランス人女性の心の傷の回復と重ね合わせた物語として説明されることが多い。しかし、本作品を公開当時の具体的状況に置き直したとき、そこにはより多層な意味作用が存在していたことが見えてくる。本作品をテクストと映像の次元から再検討するとともに、日本とフランスの公開当時の受容のありさまを資料によって実証的に跡づけることで、本作品が当時に引き起こした現象の全体像を再構成してみたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、映画『ヒロシマ・モナムール』(1959年)の公開当時、フランスおよび日本で作品がもたらした反応の全体像を把握することである。具体的には、①映画体験の再構成、②1959年当時の日本とフランスにおける文脈の再構成、③1959年の日本とフランスの受容の再構成である。そして、この目的を果たすための方法として計画されたのが、 (a)デュラス側の『ヒロシマ・モナムール』の構想と脚本の生成に関する草稿類からの調査、(b)アラン・レネ側の『ヒロシマ・モナムール』関係資料の調査、(c)『ヒロシマ・モナムール』公開時の日本の反応に関する調査(雑誌・新聞)、(d)『ヒロシマ・モナムール』公開時のフランスの反応に関する調査(雑誌・新聞)であった。 初年度の2019年度には (b)、(c)、(d)に関わる研究を行い、2020・2021年度は、コロナ禍による渡航制限のため、国内外の文献・映像資料の整理・分析作業を行った。2022年度は研究成果をもとに海外調査を再開し、フランス国立図書館でより広範かつ精緻な資料収集を行い、当時のフランスでの具体的な反応と、岡田英次の主役起用について従来の理解とは別の証言を発見することができた。 本年度2023年度には、2019年度に収集したシネマテーク・フランセーズのシルベット・ボドロ寄贈資料の遺漏部分のチェックと再収集を同施設で行なうとともに、国立図書館、現地古書店で資料収集を行った。また、研究全体を統括する視点を構築するために、哲学者ジャック・デリダの「幽霊」、「痕跡」という概念に着目しながら、イメージ文化(絵画、写真、映像)の担う機能についての文献調査を行った。さらに、日本の占領期についての文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスでの現地調査が再開され、本研究に必要な資料を現地で探し当てるとともに、研究全体を統括する概念を発見することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に挙げた資料調査を継続して行うとともに、研究全体を統括する概念を導入して研究成果を整理し、成果発表への準備を進める。
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