研究課題/領域番号 |
19K00513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郷原 佳以 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90529687)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ロラン・バルト / モーリス・ブランショ / ジャック・デリダ / エクリチュール / 発話理論 / ジャン・ポーラン / 物語理論 / ジャン=リュック・ナンシー / プロソポペイア / 中動態 / 非人称 / インヴェンション / 隠喩論 / 「白い神話」 / エミール・バンヴェニスト |
研究開始時の研究の概要 |
モーリス・ブランショ、ロラン・バルト、ジャック・デリダは、いずれも20世紀フランスにおいて「エクリチュール」を概念化し、根源的な営みとして捉えた批評家であり思想家である。彼らのエクリチュール概念は、それが主体の理性的な統御を免れるものだという点においては共通している。しかし、構造主義が依拠した発話理論の言語学との関係という観点から見ると、彼らのエクリチュール概念はそれぞれに異なっている。本研究は、関連テクストの精査により、エクリチュール概念と発話理論の関係性という見地から彼らの思想の共通性や差異を明らかにし、それを通して、ブランショやデリダと構造主義との距離をも明らかにする。
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研究成果の概要 |
バルト、ブランショ、デリダにおけるエクリチュール概念と発話理論の関係を明らかにするという目的に沿って、主として以下の研究を行った。 (1)バルト「「書く」は自動詞か?」をデリダの発言と比較検討した。バンヴェニストの中動態論文を精査し、非人称的な文学言語と中動態の差異を明らかにした。バルトとブランショのエクリチュール論を比較検討した。(2)形而上学的隠喩論のデリダによる脱構築や、デリダが従来の哲学とは別の語りを模索したことを明らかにした。(3)ブランショのエクリチュール概念の背後にヘラクレイトスの断片的な言葉があること、ポーラン『タルブの花』の常套句論とブランショの文学論との関係を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
バルト、ブランショ、デリダは共に「エクリチュール(書くこと)」を鍵概念とした20世紀フランスの文芸評論家・思想家だが、彼らのエクリチュール概念が比較検討されることはなかった。本研究は、彼らのエクリチュール概念が、同時代に隆盛したバンヴェニストらの発話理論との関係においてそれぞれ異なる立場を取っていたことを明らかにし、そこからそれらの相違を取り出した。さらに、彼らだけでなくナラトロジーやノン・コミュニケーション理論などについても、発話理論との関係で、従来与えられていなかった位置づけを行い、新たな見取り図を示すことができた。
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