研究課題/領域番号 |
19K00517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 唯史 京都大学, 文学研究科, 教授 (20250962)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日露 / 比較 / 徳永直 / ゴーリキー / 本多秋五 / トルストイ / 文学 / ロシア / ソ連 / 近代日本 / プロレタリア文学 / 転向文学 / 大正後期―昭和 / 日露比較文学 / 自叙 / 歴史叙述 |
研究開始時の研究の概要 |
日本とロシアはともに近代化の後発国であり、その文学で自伝的な言説が大きな比重を占めていた。ただし、日本の私小説や心境小説が歴史を遮断する傾きを持っていたのに対して、ロシアの自伝的言説は歴史の中の自己を表象する志向が強かった。以上に鑑み、骨研究は、自伝的言説および、これと連関性の強い歴史叙述に着目して、おもに大正区後期から昭和期の日露文学の比較を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の趣旨は、自叙を主要観点とした、明治―大正前期に比して従来あまり研究されてこなかっ大正後期―昭和期を中心とする日露比較文学研究である。2022年度は、本研究による知見を用いて、ロシア語文学の入門書『ロシア文学からの旅:交錯する人と言葉』を代表編著者として上梓した。特にその中の1章「ロシア文学と日本文学」は本研究の直接的な成果である。また、イサーク・バーベリの代表作『騎兵隊』の新訳、同『オデッサ物語』の改訳を刊行したが、その解説には、本研究の特にロシア文学に関する面で獲得した方法論的な成果を生かされている。 本研究の重要な対象の一人であるマクシム・ゴーリキーに関する座談会「ロシアとソ連をつなぐ作家ゴーリキーの傑作短篇集『二十六人の男と一人の女』の魅力 」(紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会第80回、2022年6月24日、オンライン)、「民族とは何か:ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて」(京都大学ELP倶楽部特別講義、2022年7月16日、於京都大学 )などにより、研究成果の一定の社会還元もおこなった。 また、ヴェネチア大学で開催された国際シンポジウム「東洋と西洋における東スラヴ文化の受容」(2023年3月3-4日、於Universita Ca'Foscari)にオンライン参加し、本研究の直接的な成果である「”ゴーリキーに帰れ”:日本のプロレタリア文学作家徳永直の”転向”」と題するロシア語報告をおこない、大きな反響を得るなど、国際的な発信にも努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」の欄の記載のとおり、本研究の成果は一定程度上がっていると考える。また、その社会還元、国際的な発信もおこなっている。 研究そのものも相当の進捗を得たが、新型コロナ・ウィルス禍のため、国内外の図書館・文書館での調査は予定通りには捗らなかった。そのため、計画の完全な実施には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の事情に対するご理解をいただき、幸い1年の期間延長をお認めいただいた。新型コロナ・ウィルスによる移動制限、資料調査の困難は軽減されたので、国際状況に鑑みてロシア連邦における調査の実現は難しいと思われるが、日本における調査によって可能な限りこれを補い、2023年度には研究の完成と積極的な発信をめざす。
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