研究課題/領域番号 |
19K00520
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福田 義昭 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60390720)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | アラブ / 近代文学 / 地理的想像力 / 空間表象 / 世界観 / アイデンティティ / 国歌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「地理的想像力」や「地理的世界表象」の観点から近現代アラブ文学を読み直し、近代に生きるアラブ人の世界観や空間的アイデンティティの変容を探る。とくに(あらゆるレベルでの)越境体験をあつかった小説や旅行記、詩、エッセイなどを対象に、「国民国家」、「アラブ世界」、「東洋と西洋」、「西欧とアメリカ」、「アジア」、「イスラーム世界」などがどのように認識・表象されてきたかを分析する。アラブ世界は広大で、国や地域やエスニシティによって、地域空間の認識や空間的アイデンティティのあり方は多様である。本研究ではエジプトを中心としつつも、できるかぎり多くの国・地域の作品を取り上げる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、近代アラブ世界の文学作品をはじめとする多様な文化的テクストにおいて、さまざまな地理的概念・政治空間などがどのように認識され、表象されてきたかを分析するものである。それによって、近代アラブ人の「世界」観の変遷や空間的アイデンティティの変容を解明するための手がかりを得たいと考えている。 4年目にあたる2022年度は、以下のような研究活動を行った。 (1)引き続きアラブ諸国の国歌に関する研究を進め、その成果の一部を「越境するアイデンティティ──アラブ諸国の国歌」(半澤朝彦編著『政治と音楽──国際関係を動かす“ソフトパワー”』晃洋書房、2022年4月、83-103頁)として発表した。「近代国民国家の象徴」たる国歌が、アラブ世界において、国境を越える契機をいかに多く内包しているか、アラブ民族主義や世界宗教(普遍宗教)としてのイスラムとの関係、アイデンティティの重層性等を中心に概括的に把握しようと努めた。 (2)また、とくにアラブ諸国の「祖国(ワタン)」観に焦点を当てつつ、中東現代文学研究会の定例研究会(京都大学、2023年1月8日)において「アラブ諸国国歌とその周辺から見るワタンの姿」と題する口頭発表を行った。これまで十分になされてきたとは言い難い、アラブ世界における国歌の歌唱・演奏実践の研究についてもその重要性を指摘した。 (3)新型コロナウイルス感染症の流行によって初年度から停止せざるを得なかった海外調査を初めて実施した(2023年3月7日~3月22日)。今回はエジプトのカイロやアレクサンドリアにおいて文学作品・研究文献の調査収集やエジプト人研究者との意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年までと同様であるが、新型コロナウイルス感染症の流行により、現地調査や資料収集が当初の計画どおりに進んでおらず、全体的に遅れている。また本研究では、かなり多様なサブ・テーマを設定しているが、国歌など、扱うべきテクストの範囲が当初の予定より増えたため、分析に時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、国歌やエジプト小説の分析に加えて、文明論や旅行記などをもとに、近代アラブの「西洋/東洋」観等の研究を進める。海外調査に関しては、これまで実施できていなかった、オマーン、モロッコ、その他の諸国における調査・資料収集・研究者との意見交換等を行う予定である。
|