研究課題/領域番号 |
19K00533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安元 隆子 日本大学, 国際関係学部, 研究員 (40249272)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 金子文子 / 『何が私をこうさせたか』 / 虚無主義 / 天皇制批判 / 自伝 / シュティルナー / アルツィバーセフ / ルソー / 朴烈 / 無政府主義 / マックス・シュティルナー / 『唯一者とその所有』 / 辻潤 / 『自我経』 / 自己犠牲 / 自我 / 朝鮮 / 無籍者 / 人間の絶対平等 / 運命 / 見栄 / 虚栄心 / 何が私をこうさせたか / 見栄・虚栄心 / 日朝関係 |
研究開始時の研究の概要 |
金子文子は「人間の絶対平等」を掲げ、当時蔑視されていた朝鮮人と連帯し天皇制を否定した結果、1926年、獄中にて縊死した。本研究は金子の自伝『何が私をかうさせたか』に描かれた当時の日本と朝鮮の事象の再現、及び、表現に即した読みを行うことで、従来のように思想解明の補助資料ではなく、この自伝が尋問調書や裁判記録の主張にはない金子の心の揺れや弱さが読み取れる「文学作品」としての可能性を持つことを提示する。また、比較文学、思想史、政治・社会などの視点を取り入れ学際的に論ずることで、歴史や女性学の分野からの言及に限られていた現在の硬直した金子文子像を超越し、新しい「人間・金子文子」像の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
金子文子の自伝『何が私をこうさせたか』を表現に即して丹念に読むことで、裁判のための尋問調書等では知ることのできなかった、性に弱く虚栄心に左右される人間・金子文子を明らかにした。そして、そこに「運命」からの脱却という物語を読んだ。また、当時の山村や朝鮮、東京の状況を明らかにし、金子文子の思想が誕生する必然性を示した。そして、自伝形式と「自然」の治癒力にはルソー、「自我」思想にはシュティルナー、獄中自死の選択にはアルツィバーセフ、短歌制作には石川啄木の影響を認め、それらを検証した。更に、金子文子死後の受容について瀬戸内晴美とキム・ビョラ、映画『朴烈』を取り上げ、金子文子の現代的意味を考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、金子文子は大逆事件を志した大正期の虚無思想の運動家として、または男女関係に拘泥されない朴烈との対等なパートナーシップに注目した女性史の観点からの評価が主であった。しかし、本研究では、自伝を裁判調書と比較し、虚構部分を明らかにし、文学として読むことでその物語性を浮き彫りにした。それによって硬質な思想家とは異なる新たな金子文子像を読み取った。また、時代背景を明らかにし、金子文子の思想の必然性を明らかにした。更に、海外からの哲学思想の影響を具体的に検証し、その国際性も明らかにした。金子文子の死後の受容研究も含め、先行研究にはない詳細、かつ多面的な金子文子像を提示した点に本研究の意義がある。
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